2012 Fiscal Year Annual Research Report
形状分布と光反射率に基づく高次元特徴量を用いた自律走行車両の大域的自己位置認識
Project/Area Number |
12J02589
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原 祥尭 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己位置認識 / 距離画像カメラ / LIDAR(レーザスキャナ) / マッチング / ベイズの定理 / 最大事後確率推定 / 電動車椅子 / 移動支援 |
Research Abstract |
本研究では、自律走行車両のさらなる実用化のために大域的自己位置認識の実現を目的としている。本年度は主として、大域的自己位置認識を高精度に行うための詳細マッチング技術の研究開発を行った。距離画像カメラやLIDAR(レーザスキャナ)などの計測点群を目標点群(地図)とマッチングする自己位置推定を対象としている。 従来のマッチング法では、センサの誤差や情報量の不足、アルゴリズムの近似誤差や仮定の崩れ、一意に位置合わせできない形状などが原因で、正しい自己位置を推定できない場合があった。そこで本研究では、最大事後確率推定により事前確率をマッチング評価式に明示的に入れ、事前確率と計測の尤度の両方を考慮したマッチングを実現した。実験の結果、従来手法である通常のICPでは正確な自己位置推定が困難な状況であっても、提案手法のMAP-ICPでは推定位置の誤差が小さいマッチングが可能であることを確認した。 一方で、自律走行車両の具体的なタスクとしてショッピングモールやテーマパーク、リゾート地、空港などの大型商業施設での人の移動支援を考え、搭乗型車両を開発している。自律走行機能により自動帰還が可能であり、降車場所の制限がないシェアリング型の移動手段であることが特徴である。搭乗時は利用者の操縦により自由に移動でき、さらに自動帰還により任意の場所で乗り捨てられることを利点とする。 屋内外にわたる走行を考えた場合、電動車椅子サイズの小型車両はトレッドやホイールベースが短いため、わずかな路面段差で車体が大きく傾き搭乗者が不安を感じる。そこで本研究では6輪サスペンション付き電動車椅子をベース車両に選定し、車体の安定性を確保した。 今後は屋内外の広域な人込み環境で実験を進め、大域的自己位置認識を実現すると共に、大型商業施設での人の移動支援を行う搭乗型車両の開発を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果の社会への還元を強く意識しており、大型商業施設での利用を想定した搭乗型車両を具体的な実用化目標として明確に定めて研究を進めている。具体的に行っている研究は学術的にも評価されており、学会発表において優秀講演賞を受賞した。本研究で提案した移動ロボットの自己位置認識法は、この研究分野ではまだ気が付かれていない手法を取っており、複数の実験により定量的な評価を行って説得力のある成果を得ている。また関連研究を入念に調査することで研究計画を常にブラッシュアップし、研究の方向性をしっかり定めて実装に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
大域的自己位置認識に必要となる、測定対象物の3次元形状と受光強度に基づく高次元特徴量の評価を継続して行う。本研究で提案する高次元特徴量は、従来の画像に対する高次元特徴量とは異なり、3次元形状と受光強度に基づく新たな特徴量である。特徴量の状態空間で探索を行うことで、地図上での現在位置を認識する大域的自己位置認識を実現する。高次元特徴量の集合として表現される地図のデータ構造、および特徴量の状態空間での探索アルゴリズムを検討し、高効率な大域的自己位置認識が可能となるように実装を進める。
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Research Products
(6 results)