2013 Fiscal Year Annual Research Report
身体の測定とその表象-19世紀末フランスにおける記録装置を中心に
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12J02620
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
増田 展大 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員PD
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Keywords | 映像文化 / 写真 / 映画 / アニメーション / 科学史 / 技術論 |
Research Abstract |
本年度の研究は、前年度までの研究状況を踏まえた国内外での資料調査と、その成果発表を中心として、おおよそ以下の三点において進められた。 まず、昨年以降の本研究課題の成果の一部は、本年度に提出・受理された博士論文の一部に組み込まれている。これは19世紀末の解剖学や生理学、医学といった科学領域における記録技術と、その被写体や被験者、操作者といった人間がどのような関係性にあったのかという問題について、これら「身体の測定とその表象」を歴史的かつ認識論的に明らかにしようとするものである。 次に、上記の論文の延長線上にあって、研究課題において重要な人物となるアルフレッド・ビネやジャン・コマンドンと、19世紀末の生物学との関係性についての資料調査が重点的におこなわれた。後者については、20世紀初頭の生物学者であると同時に映像技師でもあった彼の実践を調査の対象として、映像メディアを生物学的に捉え直すことの意義を日本記号学会分科会において発表した。また前者について、19世紀後半におけるビネの実践は、これまで必ずしも科学史的な重要性をもつものではなかったが、その一方で、当時の映像技術との関係においては極めて示唆的な事例となる。そのことを20世紀初頭のアニメーション作品との関係において明らかにした論文において、これら資料調査の成果はすでに発表している。 最後に、以上のようにして科学史的な視座から映像メディアを問い直そうとする本研究課題は、最新の映像文化論やアニメーション論を重要な参照項とするものであり、来年度以降のためにも、それらの研究動向の調査が進められた。なかでも重要な論者の一人となるトム・ガニングの論文について、本年度は受入研究者とともに定期的な研究会を開催し、異分野に属すると研究者たちと活発な議論を交わすことができた。これらの成果については、来年度以降の成果発表に組み込まれる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は、先に記した三点からおおむね順調に進展していると考えられるが、今後はその成果発表を十分なかたちで進めたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は歴史的な資料調査と最新の映像論との組み合わせによって進められるが、今後はそれらの成果発表から異分野との交流を重点化することによって計画以上の研究の進展を可能にしたい。
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Research Products
(4 results)