2013 Fiscal Year Annual Research Report
RAD51及びRAD51相互作用因子によるヌクレオソーム上での組換え反応の解析
Project/Area Number |
12J02649
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
町田 晋一 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | 相同組換え / RAD51 / RAD54 / Nap1 / クロマチン高次構造 / リンカーヒストンH1 / DNA二重鎖切断損傷 |
Research Abstract |
本研究の目的は、クロマチンにおける相同組換え修復機構を解明することである。細胞内のゲノムDNAは、ヒストンH1がヌクレオソームに結合することで、高次に折り畳まれたクロマチン構造を形成し、核内に収納されている。その高次クロマチンは、日常的に重篤なDNA損傷である二重鎖切断損傷を受けている。DNA二重鎖切断損傷は、RAD51及びRA54が触媒する相同組換えによって正確に修復されるが、高次クロマチン中での相同組換え反応の分子機構は解明されていない。高次クロマチンにおける相同組換え反応を解明することは、生きた細胞内での相同組換えを理解するために重要である。前年度に、試験管内で高次クロマチンを再構成し、高次クロマチンにおける相同組換えの反応機構を解明することを試みた。その結果、ヒストンシャペロンNap1が相同組換えの中心反応であるRAD51及びRAD54依存的な相同的対合反応で機能することが明らかになった。さらに、Nap1の機能を詳細に解析したところ、Nap1がヒストンH1を除去することで高次クロマチンを弛緩し、相同的対合反応を促進することが明らかになった。本年度は、ヒト培養細胞を用いて、Nap1の相同組換えにおける機能解析を行った。まず、Nap1のノックダウン細胞を用いた解析から、Nap1が相同組換えで機能することを明らかにした。さらに、顕微鏡を用いたバイオイメージング法及びChIPアッセイにより、Nap1がDNA二重鎖切断損傷領域に集積することを明らかにした。さらに、生体内において、Nap1がDNA二重鎖切断損傷領域からヒストンH1を除去することで相同組換えが進行することを見出した。これらの結果により、高次クロマチン中での相同組換え反応がヒストンシャペロンであるNap1と相同組換え因子であるRAD51及びRAD54が協調することで触媒されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究により、相同組換えにおけるクロマチン構造のダイナミックな制御機構が解明された。それら研究結果は、2014年5月にScientific Reportsに掲載された。本研究の目的は、クロマチンと相同組換えの関係を明らかにすることである。本研究で解明した現象は、その目的のうち、最も重要な発見の一つであることから、計画以上に進展したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究結果から、ヒストンシャペロン及びクロマチンリモデリング因子による相同組換えでのクロマチン構造制御機構を明らかにしてきた。一方で、相同組換えにおけるクロマチン構造制御要因として、ヒストン修飾及びヒストンバリアントが知られている。しかし、これら要因による相同組換えの制御機構の詳細は明らかになっていない。ヒストン修飾及びヒストンバリアントの相同組換えにおける詳細な機能を解明することは、生きた細胞内で引き起こされる相同組換えの理解を格段に進めることができる。そこで、本研究で確立した再構成クロマチンを基質とした相同組換え反応解析系により、ヒストン修飾及びヒストンバリアントの相同組換えにおける機能を解明したい。
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Research Products
(4 results)