2013 Fiscal Year Annual Research Report
多量体化と配向化を基盤としたバイオミネラリゼーションによる無機ナノ材料の構造制御
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12J02657
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂口 達也 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオミネラリゼーション / 構造制御 / 多量体化 / 銀ナノ粒子 |
Research Abstract |
無機ナノマテリアルはバルクサイズの物質とは異なる特異な性質を示すことが知られており、これらの機能は物質の形状・サイズに強く依存する。そのため、精密な構造制御法の開発が強く求められている。バイオミネラリゼーションの応用は、最も期待される無機ナノ材料作製法の1つである。本研究では、無機物に親和性を示し、その鉱質形成を促進するペプチドであるバイオミネラリゼーションペプチドを用いた汎用性の高い無機ナノマテリアル構造制御法の開発を目的としている。昨年度までにバイオミネラリゼーションペプチドを多量体形成ペプチドと融合し、多量体化を介した配向制御を行うことによって生じる無機ナノ構造を制御できることを見出している。 本年度は、多量体化バイオミネラリゼーションペプチドの多量体数およびその配向が粒子形成に及ぼす影響の解析を行った。二量体から四量体を形成するCoiled-coilペプチド、およびp53四量体形成ドメインペプチドとその単量体・二量体変異体を用いてバイオミネラリゼーションペプチドの配向制御を行い、形成される銀粒子の構造とペプチド構造との相関を解析した。Coiled-coilペプチドを用いた場合、三量体Coiled-coilペプチドによってバイオミネラリゼーションペプチドの配向を制御した際に最も構造の制御された銀ナノ粒子が観察された。一方、p53四量体形成ドメインペプチドを用いた場合は、その多量体数の増加に伴って、銀ナノ粒子の制御は厳密になった。これらの結果から、多量体化バイオミネラリゼーションペプチドによる無機ナノ構造制御は、バイオミネラリゼーションペプチドの多量体数のみならずその配向に強く影響を受けることが明らかとなった。 以上より、TBPの多量体化および配向化の調節によって精密なナノ構造制御が可能となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究によって、バイオミネラリゼーションペプチドの配向制御によって生じるナノ粒子構造の制御が可能であることが示唆されており、ペプチド構造と生じるナノ構造との相関についての理解も進んできている。今後、バイオミネラリゼーションペプチドの配向による影響に加え、無機物に対するアフィニティの影響を解析することによって、ペプチドによるナノ構造制御の分子レベルでのメカニズムを解明できると期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオミネラリゼーションペプチドによるナノ構造制御機構の解明を目的として、ペプチドの無機物に対するアフィニティの影響を解析する。銀に対して異なるアフィニティを有するバイオミネラリゼーションペプチドを複数種類選択し、それぞれのバイオミネラリゼーションペプチドをCoiled-coilペプチドおよびp53四量体形成ドメインペプチドのN末端に融合したペプチドをデザインし、化学合成を行う。合成した多量体形成バイオミネラリゼーションペプチドによって形成された銀ナノ粒子の構造を電子顕微鏡を用いて観察を行い、ナノ粒子の構造とペプチドの銀に対するアフィニティとの相関解析を実施する。
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Research Products
(7 results)