2013 Fiscal Year Annual Research Report
単孔式内視鏡手術のためのマスタ・スレーブロボットシステムの開発と評価
Project/Area Number |
12J02691
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀瀬 友貴 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単孔式 / 腹腔鏡手術 / ローカル操作 / 手術支援ロボット |
Research Abstract |
患部に設けたひとつの孔からすべての手術器具を挿入して行う単孔式内視鏡手術は, 傷の目立たない手術として注目されている一方で, 器具同士の衝突や視野欠損など多くの問題があり操作が大変困難である. 本研究では, これらの問題を解決するひとつの方法として, 単孔式内視鏡手術のための新しいマスタ・スレーブロボットシステムを提案した. 本システムは, 腹壁上に設置するマスタ部と単孔から挿入されマスタ部の直下に配置されたスレーブ部が連動することにより, あたかも1本の手術器具のように振る舞う. 本システムを通常の単孔式内視鏡手術の左側の器具として利用することで, 物理的には孔はひとつしかないが, 通常の腹腔鏡手術(複数の孔)に近い操作性と視野で単孔式内視鏡手術を行うことができる. 平成25年度の研究計画としては, 「スレーブ部の作成及びロボットシステムを用いて胆嚢摘出手術の一通りの動作が実現可能かを生体外実験(ex vivo)により検証」としていたが, 結果として予定通り, 豚の肝臓を用いたシステム評価まで行うことができた. 平成25年度の実施状況として, マスタ部とスレーブ部の改良とシステムの構築を行い, 3名の外科医を対象として基本タスクによる評価実験を行った. 実験結果より, 本システムを用いたほうが通常の単孔式内視鏡手術の場合よりも短時間で効率的に操作できることが分かり, 器具同士の衝突が大幅に減少したことで医師のストレスを軽減することができた. また, 豚の肝臓を用いた生体外実験によって, 本システムが胆嚢摘出術に有効であることも示すことができた. さらに, 基本タスクによる評価実験と豚の肝臓を用いた模擬実験のどちらにおいても, 内視鏡映像が通常の腹腔鏡手術に近いことが分かり, 操作者からも腹腔鏡手術に近い操作感覚で操作できていることが確認できた. よって本システムの単孔式内視鏡手術への実現可能性と有用性を示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究目標通りに進めることができ, 無事, 作製したシステムを用いて豚の肝臓を用いた評価実験を行うことができた. 実験の結果からも提案システムの有効性を示すことができ, 手術対象として考えている胆嚢摘出術での利用が可能であることも確認ができた. これらの結果をまとめ, 現時点では国際学会で2件, 国内学会で1件発表予定など, 外部への情報発信も積極的に行っている. 今後は, システムの改良も含め, さらに本システムの有用性を示すためにより手術現場に近い環境である生体実験を予定している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定として, 主にスレーブ部の改良を行い, 可動範囲の拡大や位置精度の向上に取り組んでいく. また, マスタ部とスレーブ部間の制御についてもよりスムーズになるようプログラムの改良を行う. また, 医師との打ち合わせを行い, ニーズに合ったシステムに近づいているか確認しながらシステム開発を進めていく. 最終的には, 豚を用いた生体内実験を行い, 手術現場に近い環境で評価することで有用性をさらに示していきたいと思う.
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Research Products
(2 results)