2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会性昆虫シロアリの概日行動リズムに関する行動解析および時計遺伝子の役割の解明
Project/Area Number |
12J02694
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渕側 太郎 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会性昆虫 / 概日リズム / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
シロアリはアリ・ハチなどの膜翅目と同様に高度に社会性を発達させた昆虫のグループのひとつである。また、シロアリは不完全変態昆虫であることや半倍数性の性決定システムをとらないことなど、アリ・ハチ類とは系統的に大きく異なる。このことが、アリ・ハチ類を用いて活発な社会性研究が行われる中、シロアリ類における社会性に関する研究の必要性を決定づける。今回、ヤマトシロアリのRNAseqプロジェクトの成果により、ヤマトシロアリには、他の昆虫で見つかっている一通りの時計遺伝子レパートリーが存在し、発現していることが明らかになった(Fuchikawa et al. 未発表)。また、そのアミノ酸配列に基づいた系統解析の結果、ある時計遺伝子と社会性の進化との関わりを示す特徴的な事実が見つかった。今後、さらなる解析を行い、国際専門誌に発表予定である。 ヘブライ大学(イスラエル国)Guy Bloch氏との共同研究で行った、内勤バチ脳内の時計遺伝子発現解析により、内勤バチでも外勤バチと同様に時計遺伝子発現が一日の周期で明瞭に振幅していることが明らかになった(Fuchikawa et al. 未発表)。つまり、このことは、外勤バチ同様に、内勤バチ脳の体内時計が時を刻んでいることを意味する。内勤バチは社会的環境であるコロニー状態で一日周期の行動リズムを示さず、例えば幼虫への餌やり行動などは昼夜の別なく行われることが分かっている。したがって、この結果は、内勤バチが示す昼夜の絶え間ない巣内活動は体内時計システムの休止によって実現されているのではなく、体内時計は進行しつつ、その下流における制御で一日の活動リズムを見かけ上、消失させているというモデルを支持する。本研究により、概日リズムのカースト間可塑性を実現する神経基盤の根幹部分が一つ明らかになった。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)