2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02716
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨田 宏矢 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 補酵素A / アーキア / 生合成 / Thermococcus / pantoate kinase / phosphopantothenate synthetase / ketopantoate reductase / フィードバック阻害 |
Research Abstract |
1.PoK,PPSの反応機構・基質認識機構の解明 既に解析したThermococcus kodakarensisのPoKに続き、PPSの生化学的解析を進めた。PPSはbeta-alanineに対してMichaelis-Menten型の挙動を示す一方で、4-phosphopantoateおよびATPによる基質阻害を受けることが分かった。またPoKと同様、CoA,acetyl-CoAによる阻害効果は認められなかった。 2.CoA生合成の制御機構の解明 本菌のCoA生合成がPoK,PPS以外の酵素に対する阻害によって制御される可能性を考え、KPRの解析を進めた。まず本菌のKPRを同定するため、大腸菌・酵母由来のKPRと相同性を示すタンパク質をコードする遺伝子を探索した。その結果TK1968が唯一の候補遺伝子であったため、その解析を進めた。遺伝学的解析では、TK1968遺伝子破壊株は生育速度と細胞収量の大幅な低下を示し、それらはpantoateによって相補されたことから、TK1968はpantoateの供給に大きく寄与することが分かった。生化学的解析では、TK1968は2-oxopantoateに対して厳密な特異性を示し、 TK1968は本菌のKPRであることが強く示唆された。速度論的解析の結果、NADHに対するk_<cat>/K_m値はNADPHに対する値の約4倍であったため、大腸菌や酵母由来のKPRはNADPH依存型と報告されているのに対し、本菌のKPRはNADH依存型酵素であることが分かった。またCoA,acetyl-CoAの影響を調べたところ、KPRの反応速度は著しく低下し、KPRはCoAによる阻害を受けることが分かった。この結果から、本菌のCoA生合成はKPRに対するフィードバック阻害によって制御されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、PPSの生化学的解析とKPRの遺伝学的・生化学的解析を進めた。KPRに関する研究の結果、本酵素がCoAによる顕著なフィードバック阻害を受けることを明らかにした。これにより、アーキアは真核生物やバクテリアとは異なる機構でCoA生合成を制御することを解明した。したがって、本年度は期待以上の研究の進展があったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
アーキア特有のPoK,PPSについては結晶構造解析を進め、詳細な反応機構・基質認識機構を明らかにする。またアーキアではKPHMTについての解析報告がこれまでにないので、そのhydroxymethyl基の供与体やフィードバック阻害の有無について解析を行う。さらに真核生物・バクテリアのPS、アーキアのPPSの基質であるbeta-alanineの生合成機構がアーキアでは不明である。真核生物・バクテリアでその合成を担う酵素はアーキアには存在しないため、代わりとなる合成機構の解明を目指す。またdephospho-CoAからCoAを合成するDPCKもアーキアでは未同定である。 そこでバクテリアのDPCKと弱い相同性を示す候補遺伝子の解析を行い、CoA合成への寄与を明らかにする。
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[Journal Article] A detailed biochemical characterization of phosphopantothenate synthetase, a novel enzyme involved in coenzyme A biosynthesis in the Archaea2012
Author(s)
T. Ishibashi, H. Tomita, Y. Yokooji, T. Morikita, B. Watanabe, J. Hiratake, A. Kishimoto, A. Kita, K. Miki, T. Imanaka, H. Atomi
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Journal Title
Extremophiles
Volume: 16
Pages: 819-828
DOI
Peer Reviewed
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