2013 Fiscal Year Annual Research Report
外部性についての思考における『場』の問題-レヴィナスの形而上学と倫理的経験
Project/Area Number |
12J02747
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 香織 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フランス現代思想 / レヴィナス / 倫理 / 現象学 / 主体論 / 赦し / 戦争と平和 |
Research Abstract |
平成25年度は、平成24年度の研究で扱ってきた、シェリングーローゼンツヴァイクーレヴィナスと受け継がれていく時間論の系譜を見直すことから始めた。この研究は、ドイツ観念論と現象学のフランスへの伝播を考える際に避けて通ることのできないものであり、この成果を平成26年度に発表していく予定である。また、レヴィナスが「倫理」についての独自な思考によってこの系譜に関わっていることを念頭におき、今までレヴィナス研究では中心的に扱われていなかった側面に光を当てるための予備的作業を行った。具体的には、一方では、「戦争」「平和」「赦し」といった社会に関わる問題、他方では、現象学的に実践される主体論における時間と空間の結びつきという問題の扱い方を再考し、レヴィナスの哲学における「具体的な倫理的経験」についての考察を深め、また、「形而上学的他」についての思考と具体的経験についての思考の間に生じる両立関係がどのように成り立つのかを検討した。 1 レヴィナスの形而上学における「戦争」と「平和」についての研究を、研究会での口頭発表などを通じて進めており、平成26年度中に論文として発表する予定である。 2 「赦し」という主題について、レヴィナスの哲学において根源的な「赦し」は可能か、という問いを取りあげた。この主題を日仏哲学会にて発表し、今後より深める基礎を作った。 3 レヴィナスにおける個体化の問題を見直した。この問題を現象学会で発表したが、現在も継続して研究中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レヴィナスの主体論に関する2度の学会発表を行い、レヴィナスの著作の発展の仕方を追うことによって、レヴィナス研究の新しい側面を見いだし発展させるための手がかりを掴んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、レヴィナスの主体性研究を継続し学会発表を行うとともに研究成果をまとめ論文の形で完成させる。具体的には6月に日本哲学会の予定を控えており、また、学会への投稿も考えている。また、並行して、ローゼンツヴァイクとレヴィナスについてなした仏語博士論文を改稿し日本語著作として完成させたい。
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Research Products
(2 results)