2014 Fiscal Year Annual Research Report
外部性についての思考における『場』の問題-レヴィナスの形而上学と倫理的経験
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12J02747
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 香織 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レヴィナス / 倫理 / 現象学 / 主体性 / 時間論 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間を通じた本研究の目的は、レヴィナスにおける「倫理的経験の場」に関わる諸問題を解明すること、そして形而上学的な外部性についての思考を、倫理的経験についての問いから明らかにすることの2点であった。3年目である平成26年度においては、総括として、「場」という問題を倫理的主体の内部と外部の問題に定めるとともに、前年度に引き続き、レヴィナスの形而上学における「戦争」と「平和」についての考察を進めた。 (1)日韓リクール研究第三回交流会にて「自己性と同一性:リクールとレヴィナス」と題した仏語発表を行った。この発表は、レヴィナスにおいて「〈同〉の中の〈他〉」として論じられる倫理を倫理的経験と主体性についての問いの交錯する場の問題として再解釈する試みの一部である。発表の時点ではテキストを限定していたたが、前年度までの研究における「赦し」の問題と結びつけることで新たな成果を目論む。 (2)日本哲学会第73回大会にて、「レヴィナスにおける内在的超越」と題した発表を行った。これは『存在するとは別の仕方で、あるいは存在の彼方へ』以降のレヴィナスにおける主体の意識の起源の自らに対する不一致についての記述、そして、主体の意識に先立つ〈他〉との関わりについて再考するものである。 (3)「繁殖性」と「無限の時間」――レヴィナスの平和論」を執筆した。首都大学紀要『人文学報』に掲載予定である。レヴィナスの平和論については、前年度より中心的に取り組んでいた。本稿においては、『全体性と無限』における「対面」およびの第四部の中心的主題である「繁殖性」に基づいて論じられる「平和」の内実と両者の関係を明らかにすることを目論み、その成果として、『全体性と無限』が論じている主体の構成について新たな観点を得ることができた。 今後、3年間の成果を練り上げ、レヴィナスにおける超越の問題として著作の形で発表していく所存である。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)