2013 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の出生が大脳形成過程に果たす生理的機能およびその破綻の解析
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12J02753
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸田 智久 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 出生 / SOX11 / 神経細胞成熟 / 体性感覚 |
Research Abstract |
「出生」は哺乳類の一生で最も劇的な環境変化を伴うが、出生の脳神経系形成過程における生理的重要性は不明な点が多い。出生により発現制御される遺伝子スクリーニングを行ったところ、大脳皮質神経細胞における転写因子Sox11の発現量が出生を契機として減少することを見出していた。そこで本研究課題では、出生→Sox11発現低下→神経細胞成熟というカスケードがあるとの仮説を立て検討している。 本年度はSox11の神経細胞成熟における機能解析を中心に行った。即ち、Sox11発現低下の神経細胞成熟における機能的重要性を形態レベル及び分子レベルで検討した。具体的には、shRNAおよびSox11・KOマウスを用いて大脳皮質神経細胞のSox11をknockdownすることにより、Sox11の発現低下が神経細胞の成熟に及ぼす影響を解析した。形態および分子マーカーを用いて解析した結果、出生後のSox11の発現低下が大脳皮質神経細胞の成熟に必要である事が示唆された。 また、出生が個体の行動の発達過程に及ぼす影響を検討した。新生仔マウスの体性感覚発達を解析するために、新生仔マウスが母親マウスの乳首へ到達する時間「nipple attachment latency」の変化を計測した。出生後、新生仔のnipple attachment latencyは1週間で低下すること、体性感覚遮断操作によりnipple attachmentには体性感覚入力が必要であること、nipple attachment latencyは早産マウスの方が正期産マウスより早く低下する事を見出し、出生が体性感覚系の機能的発達も制御していることを示唆された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、出生後の神経細胞成熟におけるSox 11発現低下の必要性を明らかにしたことに加え、出生の体性感覚系の機能的発達における役割も見出し、今後の順調な発展が見込めるから
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、Sox11発現低下の神経細胞成熟における必要性・および十分性を明らかにしてきた。今後は、Sox11の発現低下を制御する出生要因を、in vitro、in vivoの実験系を併用して同定を目指す。
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Research Products
(4 results)