2013 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫による寄主植物操作メカニズムの解明に関する研究
Project/Area Number |
12J02812
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
神代 瞬 鹿児島大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゴール(虫こぶ) / 寄主植物操作 / フタテンチビヨコバイ / イネ科作物 |
Research Abstract |
昆虫が植物の生理状態を改変して作るゴール(虫こぶ)の詳細な形成メカニズムは明らかになっていない。・本研究では、大量増殖が可能なゴール形成昆虫フタテンチビヨコバイと、寄主であるイネ科モデル植物を用いて、昆虫のゴール形成メカニズムの解明を試みる。大まかな区分としては、①ゴール形成や形成阻害に関与する植物側の遺伝子の探索、②ゴール形成部位における植物の組織学的変化と遺伝子発現動態、③マイクロインジェクションによるゴール誘導物質の特定および再現、④ヨコバイにおけるゴール形成の適応的意義の解明の4項目である。 現在までの成果として、①および②においては、イネ品種ARC10313や台中65号などを用いた摂食試験を実施し、感受性の異なるイネ品種を見出した。③については、感受性の高いコムギ系統を用いた実験のため、九州各地および四国のフタテンチビヨコバイ個体群におけるゴール形成能力を比較した。その結果、九州各地の個体群悶でゴール形成程度に差があることが判明した。また④では、ゴールを形成可能なコムギと形成できないオオムギを用いて産卵および摂食選好性を調査するとともに、幼虫の発育特性を両者の間で比較した。幼虫の発育はコムギの方が相対的に高かったが、成虫のコムギに対する寄主選好性は検出されなかった。一般的なゴール形成昆虫とは異なり、フタテンチビヨコバイの幼虫は寄主間を自由に移動することができるため、強い選好性が無いものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画を大きく遅延することなくデータを収集できている。 また、得られた成果は論文として投稿し、学会で発表するなど順調に公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を踏まえ、 ①ゴール形成や形成阻害に関与する植物側の遺伝予の探索に関して、網羅的なデータ解祈を開始する。また、予備的であった③マイクロインジェクションによるゴール誘導物質の特定および再現について、本格的な実験を進めてゆく。
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Research Products
(6 results)