2012 Fiscal Year Annual Research Report
生合成遺伝子の汎用的異種発現による糸状菌ポリケタイド合成酵素の触媒機構の解明
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12J02831
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤居 瑠彌 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 糸状菌 / ポリケタイド / Diels-Alder反応 / cytochalasin E / solanapyrone / GKK1032 / ドメインスワッピング / 物質生産 |
Research Abstract |
本研究は糸状菌代謝産物の汎用的生産法開発の一環として、i)麹菌を宿主とした複数遺伝子同時発現系の検証、ii)有機合成が困難な天然物の短段階酵素的全合成、面生合成遺伝子クラスターの機能解析を目的としている。そのための標的化合物に、ポリケタイドを選択し、solanapyrone Aおよびcytochalasin Eの酵素的全合成を検討する。骨格合成酵素の機能解析後、solanapyrone Aとcytochalasin Eのドメインを交換することで、複数あるドメインの機能解析と非天然型の代謝産物を得ることを目的とする。 初めに、cytochalasin Eの2種の骨格合成酵素遺伝子を物質生産用の宿主Aspergilus oryzaeに導入し、代謝産物を得た。その化学構造は予想とは部分的に異なったものの、導入した遺伝子が正常に発現されていることが支持された。cytochalasin系化合物の骨格合成酵素を発現した例は本研究が初であり、骨格構築に重要なKnoevenagel反応およびDiels-Alder反応が進行しなかったことから、骨格合成酵素がこれらの反応を別の酵素が触媒する説が有力となった。現在、候補遺伝子の発現を検討中である。 次に、結核菌に対して有効な生理活性をもつhirsutelloneに類似の構造を有するGKK1032類の生合成遺伝子の探索を行った。この化合物もcytochalasin Eと同様に2種の骨格合成酵素によって鎖状前駆体が合成されると予測され、この生合成酵素の機能解析を行うことは糸状菌のポリケタイド生合成に大きな知見を与えると考えられる。まず、生産菌のゲノム解析を行い、候補となる2種の遺伝子群を発見した。現在これらの遺伝子を発現すべく、宿主への遺伝子導入を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最初にcytochalasin系化合物のひとつであるchaetoglobosinの生合成遺伝子の異種発現を行っていたが、別の研究グループによって、我々が対象としている遺伝子がchaetoglobosinの生合成遺伝子ではないことが判明し、大幅な時間のロスをしてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
初めに、cytochalasin Eの骨格合成酵素のひとつと思われる遺伝子を糸状菌宿主で発現する。その代謝産物を確認後、予想生合成中間体が得られれば、修飾酵素遺伝子を順次導入し、cytochalasin Eの酵素的全合成と酸化酵素の機能解析を行う。次にGKK1032の生合成に関して、候補となる遺伝子を同様の手法で発現し、代謝産物を確認する。これらを達成できれば、注目するドメインを交換入れ替え、各ドメインの機能解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)