2013 Fiscal Year Annual Research Report
生合成遺伝子の汎用的異種発現による糸状菌ポリケタイド合成酵素の触媒機構の解明
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12J02831
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤居 瑠彌 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 糸状菌 / ポリケタイド / Diels-Alder反応 / cytochalasin E / solanapyrone / コウジ菌 / 異種生産 |
Research Abstract |
本研究は糸状菌代謝産物の汎用的生産法開発の一環として、i)麹菌を宿主とした複数遺伝子同時発現系の検証、ii)有機合成が困難な天然物の短段階酵素的全合成、iii)生合成遺伝子クラスターの機能解析を目的としている。以前の研究で、テルペン系天然物に対して本手法が有効であると判明。次の標的化合物に、ポリケタイドを選択し、solanapyrone Aおよびcytochalasin Eの酵素的全合成を検討する。 初めに、solanapyrone Aの生合成に関与する4種の遺伝子を順次導入し、生合成中間体と最終産物の異種生産に取り掛かった。まず骨格合成に重要なポリケタイド合成酵素(PKS)を発現し、良好な収量で最初の中間体を得た。続いて、2番目に働くと予想されたメチル基転移酵素を発現すると、中間体がメチル化された。3番目の遺伝子はデータベース上に公開されていた遺伝子配列が誤りだったため、再度解析を行い、発現させた。すると、メチル化された中間体が水酸化された。最後にDiels-Alder反応を触媒する酵素を発現することで、solanapyrone Aの異種生産を達成した。 次に、cytochalasin Eの2種の骨格合成酵素遺伝子を物質生産用の宿主Aspergillus oryzaeに導入し、遺伝子の発現量でスクリーニングをした。発現量の高かった形質転換体を物質生産用培地で培養し、代謝産物を得た。代謝産物の化学構造は予想とは部分的に異なったものの、導入した遺伝子が正常に発現されていることが支持された。cytochalasin系化合物の骨格合成酵素を発現した例は本研究が初であり、骨格構築に重要なKnoevenagel反応およびDiels-Alder反応が進行しなかったことから、これらの反応を別の酵素が触媒する説が有力となった。現在、候補遺伝子の発現を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソラナピロンの異種生産を達成し、本手法がポリケタイドにも適用可能であることを示した。 サイトチャラシンの生合成機構に一つの結論を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は新たに見つかった新奇酵素反応の解析を行うため、ポリケタイドの一種phomoidride Bの異種生産に取り組む。生産菌のゲノム解析を終了し、クローニングをした後、コウジ菌に遺伝子を導入する。このとき、酵素が正常に働かないことも考慮に入れ、大腸菌を使った発現系を試す。
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Research Products
(2 results)