2012 Fiscal Year Annual Research Report
グルコース飢餓時におけるmRNA型長鎖非翻訳RNA発現のゲノムワイド解析
Project/Area Number |
12J02844
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 有沙 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生物学 / 分子生物学 / 次世代シーケンサー / 代謝 / ノンコーディングRNA / トランスクリプトーム / クロマチン / 分裂酵母 |
Research Abstract |
真核生物で観察される長いノンコーディングRNA (lncRNA)が転写されている。このlncRNAは高等動物ほど多種多様であるため生物の複雑さを生み出すのに重要な役割を果たしていると考えられており、lncRNAは、発生や分化、ストレス応答などに関わると考えられている。しかし、lncRNAの詳細な機能や作用機構などは未だ明らかにされていない。本研究では単細胞真核生物で高等動物と近いゲノム構造を持つ分裂酵母を用いてグルコース飢餓ストレス応答性のlncRNAのゲノムワイド解析を行っている。これまでの研究で、分裂酵母ではlncRNAの一種であるmlonRNAが飢餓ストレスに応答してfbp1遺伝子周辺で転写され、このmlonRNAの転写に従い、段階的にクロマチン構造の弛緩がおこることが明らかにされてきた。本研究では分裂酵母におけるmlonRNAの普遍性を探ってきた。平成24年度はグルコース飢餓ストレス応答におけるRNA-seq解析及びChIP-seq解析を行い、ゲノムワイドなlncRNAの発現パターン及びその機能を探った。Matlabを用いて、飢餓ストレス応答するプロモータlncRNAを探索するツールを作成した。その結果、これまで知られていたfbp1の他にmlonRNAが転写される領域が複数見つかった。それらの領域に対しノザンブロットを行い、転写の活性化に関わるか否かを検証した。その上、見つかった領域の多くで、センスmlonRNAのみでなく、アンチセンスRNAの転写も明らかにした。このことからmlonRNA及びアンチセンスRNAの転写がクロマチン構造の弛緩を通じてmRNA転写活性化を引き起こすという仮説の普遍性を裏付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
lncRNA抽出のツールをより汎用性の高い、実用的なものとするために、さまざまなコンディション調整を行ったため、当初の計画よりは少し遅れたが、結果として、より良いアルゴリズムとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、今後は、本年度同定したlncRNA候補遺伝子を個別に詳細に解析する。また、アンチセンスRNAの機能を調べる為に変異体解析を行う。本年度の研究においてmlonRNAの分解系において重要であると予想される因子の遺伝子の変異体が得られたので、今後は、これまでの研究計画に加え、新たに変異体のRNA-seq解析を行うことでmlonRNAの普遍的な代謝経路の解明も目指したい。今回作成したツールで、酵母以外のlncRNA探索も行う。
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Research Products
(16 results)