2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミカル・ヤン・バクスター写像の組み合わせ論的側面、および幾何学との関連
Project/Area Number |
12J02888
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松本 ディオゴけんじ 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ダイナミカル・ヤン・バクスター写像 / 擬群 / テンソル圏 |
Research Abstract |
当該年度に実施した研究の主要な成果は以下の通りである. 1.擬群を用いたベキ等なダイナミカル・ヤン・バクスター写像の構成 群を用いてベキ等なヤン・バクスター写像が構成できることが知られており,本研究では,これを(非結合な代数系である)擬群を用いてダイナミカル・ヤン・バクスター写像に拡張した.また,擬群における理論を用いて,このダイナミカル・ヤン・バクスター写像の性質を調査した.本研究はダイナミカル・ヤン・バクスター写像に現れるパラメータの一側面の記述を行ったという点で重要である. 2.ダイナミカル・ブレイデッド・半群(dynamical braided semigroup)を用いたべキ等なダイナミカル・ヤン・バクスター写像の枠組みの構成 上記1で述べたベキ等なダイナミカル・ヤン・バクスター写像の構造を調べることによりテンソル圏上のbraided semigroupを用いた枠組みの構成が得られた.これは今後,他のクラスのダイナミカル・ヤン・バクスター写像を考察するときに,非常に重要な指針を与えると考えている. 3.ダイナミカル・ヤン・バクスター写像に付随する代数系(dynamicalbrace)の拡張と性質の調査 Dynamicalbraceはユニタリ条件を満たす右非退化なダイナミカル・ヤン・バクスター写像に対応し可換群の上の演算の族を用いて定義されるが,これを可換な擬群を用いた定義に拡張した.これによって,今までよりも豊かな組合せ論的側面が得られ,グラフ等を用いた組合せ論的側面を調査するときに,より良い性質の表現が可能であると考えている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標である,ユニタリ条件を満たす右非退化なダイナミカル・ヤン・バクスター写像に対応する代数系の調査と分類についての直接の進展は少なかったが,これらを包括的に扱うための圏論的な枠組みについての重要な解の構成に成功したため.
|
Strategy for Future Research Activity |
ユニタリ条件を満たす右非退化なダイナミカル・ヤン・バクスター写像のような,ある特定のクラスについて調べるだけでなく,テンソル圏を用いたより一般のダイナミカル・ヤン・バクスター写像の枠組みの構成と性質の調査および圏論を通した他分野との関連の記述について研究を行う. また,各クラスのダイナミカル・ヤン・バクスター写像の背後に潜む代数的な構造についても,抽出し定式化を行い性質を調べる予定である.
|
Research Products
(7 results)