2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオン共役電子移動による高原子価金属オキソ錯体の水の酸化触媒活性制御
Project/Area Number |
12J02902
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朴 ジュン 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C-H結合開裂 / 電子移動 / 酸効果 |
Research Abstract |
オキシゲナーゼ酵素は生命活動の過程で重要な役割を果たすことが知られている。また、生体酵素は金属イオンやその周囲に存在する種々の配位子によって特定の機能を発現する。それらの役割を理解することは酵素機能の再現や生体模倣の触媒開発あるいは新薬の開発に取り組む上で非常に重要である。金属結合酵素においてノンヘム高原子価鉄オキソ錯体は有機基質酸化反応の中間体として同定されて以来、多くの注目を集めており、その活性あるいは構造的、分光学的および化学的な特徴が広く研究されてきた。例えば、電子移動、ヒドリド移動、C-H結合活性化、酸素原子移動などの反応が挙げられる。ノンヘム高原子価鉄オキソ錯体の活性はその周囲の環境によって影響を受け、温度や圧力、pHのみでなく、溶媒や配位子、トポロジー、酸化還元不活性な金属によっても変化する。本研究では、ノンヘム高原子価鉄オキソ錯体([(N4Py)Fe^<IV>(O)]^<2+>(N4Py=N,N-bis(2-pyridylmethyl)-N-bis(2-pyridyl)methyl-amine)を用いたトルエン誘導体のC-H結合活性化反応およびチオアニソール誘導体のスルホキシド化反応においてルイス酸であるSc^<3+>イオンおよびブレンステッド酸の添加が反応を促進することを見出した。活性の向上は、電子受容体であるノンヘム鉄オキソ錯体に対するSc^<3+>イオンの強い結合および酸によるプロトン付加によって、[(N4Py)Fe^<IV>(O)]^<2+>の一電子還元電位が正側にシフトするためであることを明らかにした。これらの効果は種々の電子供与体である有機物を用いても観測することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ノンヘム鉄オキソ錯体[(N4Py)Fe^<IV>(O)]^<2+>を用いた酸化反応は金属イオンおよびトリフルオロメタンスルホン酸といったルイス酸やブレンステッド酸によって促進されることを明らかにした。また、プロトン共役電子移動と金属共役電子移動を統一的にまとめることが出来た。これらの反応機構の解明は電子移動酸化反応を理解する上で非常に重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
ノンヘム鉄オキソ錯体による有機基質の電子移動酸化活性はルイス酸やブレンステッド酸によって促進されることがわかった。しかし、プロトン共役電子移動と金属共役電子移動の反応性に対する有機基質酸化の反応性の相関関係はまだ明らかにされていない。今後、酸化反応において様々な基質を用いることで、酸によるノンヘム鉄オキソ錯体の活性向上効果についての統一的な解釈の仕方をマーカス理論に基づき調べる。
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Research Products
(5 results)