2013 Fiscal Year Annual Research Report
言語的マイノリティの学習者の発達促進に向けた学習環境のデザイン-日加比較研究-
Project/Area Number |
12J02927
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
竹内 身和 立教大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際比較研究 / 多言語状況 / 第二言語学習 / 数学学習 / 参与観察 / インタビュー / ワークショップ |
Research Abstract |
昨年度は、日本の都市部における、「外国にルーツをもつ子どもたち」、特に日本の各地域で増加傾向にある、フィリピンからの「移民」を親にもつ子どもたちの数的概念と言語の発達・学習状況の調査、および介入的ワークショップを行った。本年度は、そのデータの分析を進め、1. 家庭と学校での数的実践、言語実践の連続性と非連続性、2. 言語や学校外の数的実践に特有な文化的道具の価値づけとその変更可能性に関し、多様性と教育の観点から知見をまとめ、国際学会での発表と国際誌への論文投稿を行った。また、この問題に関して、社会歴史的文脈の影響を検討するため、カナダ・トロント市での研究・調査を中心に遂行した。世界でも、最も多言語多文化状況の進む、カナダ・オンタリオ州について、そのカリキュラムや教育制度、教師教育のあり方を、文献調査や聞き取り調査から探った。また、調査倫理審査や関連機関や個人とのラポート形成などの調査準備後に、トロント市において、多言語多文化状況を生きる移民の親たちと、その子どもたちに対するインタビュー調査を、日本での調査と同じテーマに基づき実施した。また、日本国内外の、多様性と教育に詳しい研究者たちと研究交流を行い、理論的考察や研究手法についての示唆を得た。本研究の意義は、未だ研究蓄積の乏しい、言語や多様な文化実践と教科(数学)学習の関連性についての研究結果を提示し、日本国内や世界の様々な地域において進む多言語多文化状況に対応した教育のあり方の検討に貢献するというところにある。この目的に鑑み、研究成果を研究者の他に、学校教員、学校外の教育実践者、教員養成課程の学生、保護者等に伝えていく機会を計8回持った(たとえば、公開パネルディスカッション「北米における言語的・文化的に多様な子ども達の学習状況と発達支援活動」等)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の枠組みに基づき、日本とカナダという異なる社会歴史的文脈とその学校内外でのリテラシー・数的リテラシー実践を比較する理論的視座の検討とカナダでの調査、及び、多言語状況の進む日本の各地域での調査の結果報告や論文投稿を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査と研究計画に基づき、今後もカナダ・日本の各地で継続して調査を進めるとともに、今後は調査から得られた知見を論文として発表していくことに力点を置く。今年度は、学会での発表とともに、査読付き国際誌へ論文投稿を行ってきた。投稿した論文のうち、現在、査読審査中の状態のものについては、査読結果に基づき、必要があれば、来年度も引き続き、修正や再投稿を進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)