2012 Fiscal Year Annual Research Report
IFN-γ遺伝子治療最適化のためのIFN-γ時空間分布の制御
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12J02931
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 満 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遺伝子治療 / インターフェロン / C型肝炎 / マイクロRNA / ターゲッティング / リポプロテイン |
Research Abstract |
本研究では、C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の肝細胞において発現が低下することが報告されているマイクロRNA(miR-29)を利用することで、HCV感染時特異的な遺伝子発現制御の可能性について検討した。レポーター遺伝子であるgaussiaLuciferase(gLuc)の3'非翻訳領域にmiR-29の標的配列を挿入することでmiR-29応答性gLuc発現プラスミドDNAを構築した。Hcvの有無によるgLuc発現の変動について、Huh7細胞およびHuh7細胞にHCVサブゲノムを感染させたHCV感染モデル細胞を用いて検討した。その結果、HCV感染の有無によるmiR-29標的配列挿入gLucの発現レベルの変動は認められなかった。今回用いたHCVサブゲノムはHCVの一部に過ぎないことから、miR-29の発現に影響を与える部位を欠損しているため、HCVサブゲノムの有無ではmiR-29の発現レベルが変動せず、miR-29標的配列挿入gLUCの発現レベルが変動しなかった可能性が推察された。 別途、肝臓以外の部位にインターフェロン(IFN)-γを遺伝子導入した後に発現するIFNγに肝臓指向性を持たせることで肝臓を標的とするIFNγ遺伝子治療法の開発を試みた。IFNγへの肝臓指向性の賦与には高比重リポタンパク質(HDL)の主要な構成タンパク質であるアポリポプロテイン(Apo}A-1を利用することとし、レポーター遺伝子であるgLucまたはIFNγとApoA-1との融合タンパク質を設計した。遺伝子導入部位にはマウス下肢筋肉を選択した。遺伝子導入から一定時間後、血漿を回収し各リポプロテイン画分に分離したところApoA-1融合タンパク質はH肌画分に多く存在した。また、ApoA-1融合IFNγ発現プラスミドDNAを遺伝子導入したところIFNγ発現プラスミドDNA投与群と比べ血清中IFNγ濃度が低いにも関わらず、肝臓においてIFNγ活性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はRNAデザインによる遺伝子制御システムの開発、肝臓指向性IFNγ融合タンパク質の開発の2つのテーマに関する研究を行った。前者については期待した結果を得ることが出来なかったことから、研究計画の軌道修正が必要であるが、後者に関してはIFNγに目的とした肝臓指向性を賦与することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
HCV特異的な遺伝子制御システムの構築を目的として、C型肝炎ウイルスの細胞内生活環を利用した、HCV感染時特異的な導入遺伝子の発現増幅方法の開発を計画している。これによりHCV感染特異的に導入遺伝子を増幅し、治療終了時すなわちHCVの除去後には導入遺伝子の発現を抑制可能な遺伝子発現制御システムが構築可能であると考えている。
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Research Products
(4 results)