2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳内ミクログリア細胞に発現する骨関連遺伝子の機能解析
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12J02953
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中里 亮太 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミクログリア / Runx2 / ATP |
Research Abstract |
本年度は、ミクログリア細胞株BV-2細胞において、転写因子に対する各種siRNAによるノックダウン実験を行うことで、ミクログリア細胞における細胞外高濃度ATPによる骨関連因子Runx2の発現上昇を制御する転写因子の解明を試みた。さらに、ミクログリア細胞におけるRunx2の機能的役割について検討を行うため、Runx2過剰発現BV-2細胞を用いて各種ミクログリアの機能解析を行った。 その結果、HEK293細胞において、ルシフェラーゼレポーターアッセイシステムにより、転写因子C/EBPβがRunx2プロモーターを活性化させることがわかり、またBV-2細胞において1 mM ATPを曝露した際に、核内においてC/EBPβの発現量が上昇することが明らかとなった。さらに、この時siC/EBPβにより発現量をノックダウンしたBV-2細胞では、1 mM ATPによるRunx2の発現量上昇が抑制されることがWestern blottingにより明らかとなった。 また、Runx2発現レンチウイルスベクターにより、Runx2を過剰発現させたBV-2細胞において、RT-PCR法により各種遺伝子発現について検討を行ったところ、骨芽細胞においてすでに発現を制御することが知られているMMP/3や、ケモカイン受容体として知られるCX3CR1やCCR2のmRNA発現量の有意な上昇も観察された。次に、phagocytosisまたはpinocytosisを測定する目的で蛍光ビーズの取り込み能についてFlow cytometry analysisにより検討を行ったところ、Rnux2過剰発現BV-2細胞群において取り込み能の上昇が観察された。 以上の結果から、ミクログリア細胞におけるRunx2の発現上昇は転写因子C/EBPβにより制御される可能性が示唆された。さらにミクログリア細胞に発現するRunx2も転写因子として機能し、各種遺伝子の発現を制御することでミクログリアの機能を調節する可能性が示唆された。このことから、ミクログリア細胞に発現するRunx2の発現制御機構および機能的役割の詳細な解明は、未だ不明な部分の多いミクログリアの機能解明と共に、ミクログリア細胞をターゲットとした新たな知見を与える可能性が考えられ、非常に意義あるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果により、研究の目的であったミクログリア細胞におけるRunx2の発現上昇メカニズムを制御する転写因子を明らかとすることができたこと、さらには、ミクログリア細胞におけるRunx2は転写因子として機能し、ミクログリア細胞の機能制御を行っている可能性が示唆されたことから、研究の目的であったミクログリア細胞におけるRunx2の機能的意義について多くを明らかにしたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ミクログリア細胞におけるRunx2の発理上昇メカニズムにおいて、C/EBPβのRunx2プロモーターへの影響や、他の細胞との発現メカニズムの違いなど、より詳細な検討を行っていく。さらに、実際の生体内におけるミクログリア細胞に発現するRunx2がどういった機能的役割を有するかついて検討を行うため、マウスを用いたin vivo解析を行っていく。しかしながら、Runx2全身欠損マウスでは骨の形成不全により生後まもなく死亡してしまうことから、cre-loxPシステムを用いたミクログリア細胞特異的Runx2欠損マウスを用いて解析を行っていく予定である。
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Research Products
(4 results)