2012 Fiscal Year Annual Research Report
ガス状エタノールで駆動する新規バイオ燃料電池の構築
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12J02957
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
増田 美幸 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バイオ燃料電池 / 耐熱性酵素 / イオン液体 / エタノールガス |
Research Abstract |
これまでに数多くのバイオ燃料電池が報告されているものの、その実用化にはさらなる出力の増大が必要である。ほとんどのバイオ燃料電池の出力は燃料の物質拡散に支配されているため、高濃度で燃料を供給する方法論を確立すれば、電池出力の増大につながると考えられる。そこで本申請研究では、高濃度の燃料供給を期待して、ガス状エタノールを燃料として利用することを提案する。しかしエタノールがガスとなる80℃以上の高温条件で酵素を扱う場合には、熱による酵素活性の低下が起こる。また、電解液の水が揮発するという問題も生じる。これらの問題を解決するため、高温条件で酵素を安定に保持する手法の確立および熱により揮発しない電解液の探索を行う必要がある。 まず、80℃付近の高温条件で機能する酵素電極の作製を目指した。本研究では、酵素触媒として耐熱性アルコール脱水素酵素を選択して酵素電極を作製した。この電極を用いると、80℃以下でエタノールの電気化学的酸化反応が進行することを明らかとした。さらに、ガス透過性のあるカーボンペーパーを電極基板として用いて、同様に酵素電極を作製した場合には、触媒酸化電流が向上した。次に、80℃付近の温度域においても揮発しない、イオン液体を電解質として用いて酵素電極の電気化学的性質を評価した。数種のイオン液体について検討を行い、疎水性の1-hexy1-3-methylimidazolium bis(trifluoromethanesulfbnyl)imide中で最も良好なエタノールの触媒酸化電流が得られることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つ目の課題であった「熱安定性の高い酵素電極の作製」を達成した。さらに、次の課題である「イオン液体中における酵素電極反応の検討」に関して、酵素活性を維持できるイオン液体を数種見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した熱安定性の高い酵素電極を用いて、高温条件・イオン液体中において電気化学的評価を行う。また、電極材料の選択や酵素の固定化法を検討することによって三相界面を制御し、ガス状エタノールを燃料とする酵素バイオ燃料電池を構築する。
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Research Products
(4 results)