2012 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を移動相とするHPLC:難溶性高分子の溶液物性解析・制御
Project/Area Number |
12J03004
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
黒田 浩介 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオン液体 / セルロース / バイオマス / エネルギー / 加水分解 / 分子量分布 / HPLC / 平均分子量 |
Research Abstract |
イオン液体はセルロースを温和な条件で溶解できる唯一の溶媒であり、現在セルロース系バイオマスを効率的にエネルギー変換するための溶媒として注目されている。セルロース系バイオマスのエネルギー変換は、バイオマスからのセルロースの抽出、セルロースの分解反応を経て行われる。しかしながら、イオン液体中での分解反応を分子量分布の観点から分析する手法がなかった。これまでに我々は、セルロースを溶解するイオン液体を移動相とするHPLC(HPILC)を構築することで難溶性のセルロースの分子量分布を測定できることを明らかとしている。そこで、HPILCを応用し、イオン液体中でのセルロースの分解反応を解析した。 はじめに、セルロースの分解反応をモニタリングするためのHPILCのセットアップを行った。分解したセルロースのモデルとして、セルロースとオリゴ糖(1、2、4、6糖)の混合サンプルを測定した。その結果、当初の条件ではブロードなピークが得られるのみであったが、温度、カラム長、流速のパラメーターについて検討することで最適条件を決定した。その結果、それぞれのピークを確認することができ、セルロースの分解反応を解析するためのシステムを構築できた。 次に、セルロースの分解反応を直接解析した。分解法は酸や酵素による触媒添加系とは異なり、組成の変化なしで分解が可能な超音波を選択した。その結果、超音波の照射時間と分子量分布の変化から、従来から言われているランダムな機構の分解がはじめて詳細に確認された。 これらの結果から、HPILCは単純に分解の効率を評価するのみならず、イオン液体中での分解メカニズムの解析へと迫ることができる唯一の手法であることが示された。そのため、イオン液体中での高効率な分解反応の達成へと大いに貢献できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1つ目の課題「セルロースのモデルを用いたHPILCのセットアップ」および2つ目の課題「イオン液体中でのセルロースの分解反応の解析」を達成し、論文化することができた。高分子から低分子まで同時に観測できるシステムを構築できたことから、3つ目の課題「植物バイオマスから抽出したセルロースの解析」に対しても測定を行う前段階まで進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
3つ目の課題「植物バイオマスから抽出したセルロースの解析」について実際に測定を行う。イオン液体はこれまでと同様1-ethyl-3-methyl-imidazolium methylphosphonateを用い、針葉樹、広葉樹、草本類から抽出したセルロース類の分子量分布を測定する。
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Research Products
(4 results)