2013 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属dバンドを利用した太陽電池吸収層の設計指針の構築
Project/Area Number |
12J03018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 翔太 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中間バンド型太陽電池 / 酸化亜鉛 / パルスレーザー堆積法 / 配向膜 |
Research Abstract |
太陽電池の高効率化へのアプローチの一つとして中間バンド型太陽電池が挙げられる. 中間バンド型太陽電池では, その吸収層におけるホストのバンドギャップ内に新たな準位を導入することで, 広い波長域の光を吸収することができ, 変換効率の飛躍的な向上が期待できる. 本研究では, 中間バンド型太陽電池の一つとして, 遷移金属元素のd軌道に由来する準位を利用したものを吸収層とする, dバンド型太陽電池に注目している. 本年度においては遷移金属を添加したZnOの電気光学特性評価と並行して, ZnO基dバンド型太陽電池を設計する際の基準となる, 遷移金属を添加しないZnOの配向膜を用いて薄膜太陽電池を作製し, その太陽電池特性を評価した. n-ZnO/p-Cu_2Oの積層薄膜からなる薄膜太陽電池を作製した. また, 様々な接合面方位のn-ZnO/p-Cu_2O積層配向膜薄を作製し, ダイオード特性を測定することでその接合面方位依存性を評価した. パルスレーザー堆積法による成膜の際にA1203単結晶(0001), (10-10), (01-12)の三種類の面方位の基板を用いることで, それぞれ異なる配向関係を有する積層配向膜が得られた. XRDによる構造解析から, これらの薄膜はいずれも面直方向には単配向を示し, また基板に対して特定の面内方位関係を有することがわかった. 太陽電池薄膜のダイオード特性には配向面により違いが見られ, ダイオードの理想係数はAl_2O_3 (10-10), Al_2O_3 (01-12), Al_2O_3 (0001)基板上の積層膜の順で小さい値となった. これはZnO, Cu_2O界面における格子ミスマッチが小さい順に対応することから, ミスマッチに起因した界面欠陥の寄与が示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
遷移金属を添加したZnOの電気光学特性の評価は順調に進展している, さらに, 中間準位を有する太陽電池の評価の基礎となる, 中間準位の無いZnOを用いた太陽電池を作製し, その評価技術を習得した.
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Strategy for Future Research Activity |
遷移金属を添加したZnO薄膜の吸収係数と遷移金属元素の局所的な配位環境・電子状態の相関を評価するため, X線光電子分光法およびX線吸収分光法による測定と, 第一原理計算による理論スペクトルの算出を行い, 両者を比較し解析を行う. これまでに得られた成果を総括し, 雑誌論文や国内外での学会において発表する.
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Research Products
(1 results)