2013 Fiscal Year Annual Research Report
六放サンゴ亜綱の系統分類学的研究-スナギンチャク目の単系統性の検証-
Project/Area Number |
12J03048
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Research Institution | 国立大学法人琉球大学 |
Principal Investigator |
藤井 琢磨 国立大学法人琉球大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 刺胞動物門 / スナギンチャク目 / イソギンチャク目 / 分類 / 分子系統学 / 海洋無脊椎 / 内腔亜目 / 単系統性 |
Research Abstract |
本研究によるスナギンチャク目を扱った分子系統解析および形態解析の結果、新たに1科1属1種の記載を行った。本種は、昨年度に記載を行った1科1属2種と遺伝的に姉妹群を形成し、既知のスナギンチャク目とは亜目~目レベルで異なるクレードを形成した。2新科の発見、および亜目以上のレベルで独立した分子系統群の発見は、海洋無脊椎動物の多様性に関する研究において、非常に大きな成果である。また、これらの新分類群が広い分布を示し、けしてアクセスが困難な環境に生息しているわけではなく、体サイズが小さく注目されにくい環境(サンゴ礁域における転石帯や洞窟環境)に生息しているが故に見逃されてきたと考えられる。本研究の成果は、いかにスナギンチャク目を初めとする海洋無脊椎動物の多様性に関する知見が不足しているかを顕著に示した。 スナギンチャク目とイソギンチャク目を合わせた分子系統解析の結果、スナギンチャク目の単系統性が示唆された。これは、従来から形態形質のみに基づき考えられてきた分類体系を支持する結果となり、DNAを用いた手法によっては初めて立証された結果である。また、本研究では、イソギンチャク目は比較対象として、主に先行研究で得られた遺伝子配列を扱ったが、側系統群を形成する事が示唆された。しかし同時に、イソギンチャク目において分類学的および分子系統学的な基礎的知見が不足していることが明らかとなった。先行研究においては、本目に属する三亜目一亜目しか用いられていなかった。本研究において初めて内腔亜目の分子系統学的位置づけを明らかにした結果、亜目レベルでの分類体系の再検討が必要である事が示唆された。 本研究で扱った二目は、刺胞動物門において最も祖先的であるとされるグループでありゲノム学等応用分野においても注目されているが、基礎的知見が不足している事は本研究成果からも明らかであり、更なる分類学的および系統学的研究が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来の大きな目的である、「スナギンチャク目の単系統性」を検証することができた。 先行研究で扱われていなかった分類群は、申請者の野外調査技術や他研究者との協力関係によって多くの材料を得ることができ、また分子系統解析においてはプライマー設計等、多くの問題点の解決に至ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、申請者らの研究成果としてスナギンチャク目の多様性に関する基礎的知見が集積しつつある一方、分類学的歴史は古いはずのイソギンチャク目の分類学的問題の解決、および多様性の解明は世界的にも大きく遅れている。全ゲノム解析等によって、応用研究分野で注目される機会が多くなったイソギンチャク目であるが、それら応用研究の有効性を高めるためには目内における分子系統の解明、多様性調査を伴う網羅的な解析が必要不可欠となる。更なる標本収集、および収蔵標本の分類学的精査を地道におこなうことで、基礎的知見の収集を行うことが急務である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Typhoon damage on a shallow mesophotic reef in Okinawa, Japan2013
Author(s)
White K N, Ohara T, Fujii T, Kawamura I, Mizuyama M, Montenegro J, Shikiba H, Naruse T, McClelland T, Denis V & Reimer J D
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Journal Title
Peer J
Volume: 52
Pages: 1-16
DOI
Peer Reviewed
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