2012 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫脳において闘争による順位形成を調節する生体アミン系の解析
Project/Area Number |
12J03065
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 崇之 北海道大学, 電子科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 遺伝子導入 / 神経遺伝学 / クロコオロギ / 生体アミン |
Research Abstract |
コオロギを含む多くの昆虫では遺伝子導入系統を作出する際にトランスポゾンにより外来遺伝子を挿入する。この方法では遺伝子導入系統間で導入遺伝子の発現量・発現部位に大きなばらつきが生じ、遺伝子導入系統を実験に使用する前に大規模なスクリーニングや長期に渡る戻し交配が必要となる。本研究では上記の問題を解決するため、組替え酵素(phiC31 integrase)を用いた外来遺伝子のsite-direct挿入法を確立する。平成24年度は組替え酵素phiC31 integraseの組替え標的部位attPを組み込んだ遺伝子導入系統の作出をおこなった。piggyBacトランスポゾンによりattP1-3xP3-EYFP-attP2を遺伝子導入し,強いEYFP蛍光を発する遺伝子導入系統を約160系統作出した。この中から46系統のコンジェニック系統を樹立し、inverse PCR法により導入遺伝子周辺領域を単離した。 上記の実験と平行して、コオロギ脳生体アミン系の機能操作実験に必要な遺伝学ツールの開発を行った。GAL4/UAS systemなどの遺伝学的ツールの確立に必要な遺伝子導入ベクターの作成や、神経細胞投射パターンの可視化に必要な蛍光タンパク質発現ベクターなどのコンストラクトを作成した。本研究で着目するオクトパミン・セロトニン系神経細胞群の標識・機能操作を行うために、これら生体アミンの合成系酵素のプロモーター配列を利用する。本年度はinverse PCR法による転写開始点上流配列を単離した。さらに平成25年度に計画している生体アミン受容体遺伝子の機能阻害実験の準備として、薬剤誘導型knock-down法の開発を進めている。本年度は上記実験系に必要なRNA pol III系プロモーターをコオロギより6種類単離し構造解析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配列特異的組換え酵素を利用した新規遺伝子導入法の開発については、当初に遺伝子導入効率の評価まで進める予定であったが、戻し交配に予想以上に時間がかかり、目標を一部達成できなかった。それ以外の実験(発現コンストラクトの作成、プロモーター領域の単離など)については、計画以上に実験が進展しており、遺伝子導入法が確立出来次第、本研究に必要な遺伝子導入系統をすみやかに作成できる。そのため、当年度の実験は計画と一部ずれが生じたものの次年度の研究計画への大幅な変更なしに研究の研究の継続が可能であり、概ね順調に進んでいると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度はまず配列特異的組換え酵素を利用した新規遺伝子導入法の確立を最優先で遂行する。本年度までに本実験に必要なリソースは確立しており、卵への顕微微量注入や系統の交配実験などの作業のみで本実験は遂行可能である。上記の実験と並行して、本年度に引き続き生体アミン系神経回路の標識・機能操作に必要なプロモーター配列の単離実験を進める。新規遺伝子導入法が確立できた後に、すぐに薬剤誘導型knock-down法、神経細胞の標識・機能操作法を確立できるよう、必要な遺伝子導入ベクターの作成を進める.
|
Research Products
(8 results)