2012 Fiscal Year Annual Research Report
双対性を基軸とした超対称ゲージ理論の研究と新たな模型の構築
Project/Area Number |
12J03069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浜 直史 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子(理論) |
Research Abstract |
本年度の研究について、年度当初、私はその研究計画の第一として、超対称性を備えたゲージ理論における物理量の計算手法の一つであるところの局所化原理について、これを四次元楕円体の上に構成した超対称ゲージ理論に適用することを第一の計画とした。 結果、本年度六月にその目標は達せられることとなった。そして、当初の目算通り、その計算結果を物理的に解釈すると、AGT対応と呼ばれる、四次元超対称ゲージ理論と二次元共形場理論との間にあると予想されている対応関係を、直接的な計算によって拡張することが出来ることも明らかになった。このAGT対応は現在、M理論的な見地(M理論の基本的な構成要素の1つであるM5ブレーンを表す実効理論である、6次元(2,0)理論のコンパクト化における極限の取り方からAGT対応は説明される)からの重要性から多く耳目を集めており、畢竟、我々の研究結果も速やかに認知され、その計算結果を引用した研究も、国内外で多く行われている。 また私は、これらの結果を踏まえ、また異なる多様体の上に構成された理論に対しても局所化を用いることを計画していた。実際に私が取り組んだのは、結果の応用の一つとして、更に具体的なセットアップを指定した場合である。つまり、四次元楕円体を四次元球面と比した歪み具合をパラメータにとれるよう一般化したのが先の我々の成果なのだが、その歪みを大きくとる極限を考えるものである。この時四次元楕円体は、二次元に広がる平面と、半径の小さい二次元球面とに分かれることが分かっており、次元削減の手法からその二次元平面に広がる超対称ゲージ理論を得ることになる。このセットアップに我々の先の計算結果を応用すると、二次元超対称ゲージ理論に関する知見を得られることが期待される。この研究は現在も進めており、次年度の研究の新たな目標の第一となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標として当初から設定していた、四次元楕円体の上への超対称性ゲージ理論の構成と、それに対する局所化原理の適用による計算が、実際に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題に用いる手法として私が採用している局所化原理は、近年にその用途が拡張されてからまだ日が浅いため、研究を進めるに従い、あるいは世界中の他の研究者たちによる研究に触発されることにより、それを用いることで新たな物理的知見を得ることが出来る状況を発見することが多い。実際、現在行っている、四次元多様体の歪みを大きく取る極限に関する研究も、本年度中に二次元理論に関する研究が進んだことが一つの大きな動機となって、新たに始めたものである。このように、現在多くの研究者が注目しているM理論の構成という目標に際しては、常に最新の研究結果を取り入れ、研究課題を進める指針としていく。
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Research Products
(2 results)