2013 Fiscal Year Annual Research Report
双対性を基軸とした超対称ゲージ理論の研究と新たな模型の構築
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12J03069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浜 直史 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子(理論) |
Research Abstract |
本年度の研究について、我々はまず、AGT対応という四次元超対称ゲージ理論の分配関数と二次元共形場理論の多点関数の間にある非自明な対応関係について、前年度までの研究を更に推し進めるために新たに興味深い状況を考えた。四次元超対称ゲージ理論の分配関数というのは、その四次元超対称ゲージ理論を構成するコンパクト多様体の情報を反映する。我々は前年度、四次元楕円体という、四次元球面にパラメーターつぶんの一般化変形を行ったものに関して、その上に超対称ゲージ理論を構成し、その分配関数を求める方法を考案したのであった。今年度はその、四次元楕円体を変形する新たなパラメータに極端な値を用い、その上の理論の分配関数を計算し、AGT対応での対応の様子を確認した。このAGT対応では、対応する二つの量が、いずれも摂動的な形でしか計算されず、関数としての一致を見ることが難しかったのに対し、我々が新たに考えたこの状況では、その摂動的な式が簡単かつ厳密な式が求められ、それらの厳密な一致も容易に確認できるのである。AGT対応は、M5ブレーンというM理論の基本構成要素の一つであるものが表す六次元N=(2,0)理論というあまり詳しく知られていない理論について、そのコンパクト化に於ける二つの極限の取り方として説明されている。逆に、AGT対応が、六次元N=(2,0)理論の性質を調べる一つの手段であり、我々の結果のように、AGT対応自体を詳しく調べることは、将来的に六次元N=(2,0)理論の研究に関する指針を与えることにも繋がるものである。なお、この結果は国内外の研究者に注目されるところとなり、国際会議での講演や、研究室での招待講演を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AGT対応について、四次元楕円体の歪みを表すパラメータを極端な値にとった状況での対応関係について詳しく考察するという、当初の研究実施計画については達成され、それを論文にまとめることが叶ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
我々がこの数年間、研究の対象としてきたAGT対応については、概ねその基礎的な解釈が確立しようとしている。その過程において、超対称ゲージ理論の物理量を定める本質的な情報を引き出す手法それ自体も固まりつっあるものである。今後はそれを活かし、新たな双対性を発見することにも主眼を置かなければならない。
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Research Products
(3 results)