2013 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母におけるリボソームRNA遺伝子のコピー数維持機構の解明
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12J03076
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
佐々木 真理子 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | リピート配列 / 相同組換え / リボソームRNA遺伝子 / コピー数変化 / ゲノム恒常性 |
Research Abstract |
本研究では、真核生物のゲノム中に多く存在するリピート配列間で生じる組換えおよびその制御機構を理解するため、出芽酵母のリピート配列であるリボソームRNA遺伝子(rDNA)のコピー数維持機構の解明を目標としている。これまでの結果から、DNA複製装置の構成因子をコードするCTF4遺伝子変異体は野生型の約2倍ものrDNAコピー数を保持していることを発見した。平成25年度の研究では、CTF4遺伝子がrDNAコピー数増加を抑制する分子機構を理解することを目的とした。まずctf4遺伝子変異体でrDNAハイパー増幅が起こる原因を探るため、rDNAコピー数維持に関与することが既知の遺伝子との相互作用を調べた。rDNAでは、DNA複製時にFob1タンパク質によるプログラムされたDNA複製阻害が起こり、その結果生じるDNA二重鎖切断を修復する際にコピー数変動が起こることが知られている。この複製阻害活性がctf4遺伝子変異体でのrDNAハイパー増幅に必要かを調べるため、ctf4 fob1遺伝子二重変異体を構築しrDNAコピー数を解析したところ、rDNAハイパー増幅は抑制されていた。よって、ctf4遺伝子変異体でのrDNAハイパー増幅はrDNAでの複製阻害依存的に起こることが明らかとなった。次に、rDNAのコピー数変動を誘因するDNA二重鎖切断の量およびその修復キネティクスを、細胞周期同調実験を行って解析した。その結果、ctf4遺伝子変異体では野生型よりも多いDNA二重鎖切断が生じているだけでなく、その修復に遅れが生じているという予備結果を得た。これらの結果から、DNA複製装置の構成因子であるCtf4タンパク質は、通常のDNA複製だけでなくrDNA内で起こるような複製阻害に応答し正確な複製再開を担う因子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ctf4タンパク質の作用機序を探るために、rDNAでのコピー数変動に関わる遺伝子との相互作用を行なった。その結果、ctf4遺伝子変異体でのrDNAハイパー増幅はrDNAでの複製阻害括性依存的に起こることが判明した。さらに、ctf4遺伝子変異体では複製阻害後に生じるDNA二重鎖切断の量及び修復キネティクスに遅れが見られたことからCtf4タンパク質は複製阻害に応答し正確な複製再開に重要な役割を果たしているという作用機構図が見えてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究においては、Ctf4タンパク質が相互作用することが既知のDNA複製コア因子やDNA二重鎖切断に関与するタンパク質の局在様式をchromatin i㎜unoprecipitation法を用いて解析を行なう。さらに、ctf4遺伝子変異体において、rDNA以外のリピート配列間でのコピー数変動が起こるかどうかも解析を行なう。
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Research Products
(2 results)