2012 Fiscal Year Annual Research Report
ロボットにおける特定部位の運動エネルギを最大化する慣性と弾性のエネルギ分配計画法
Project/Area Number |
12J03085
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
本堂 貴敏 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 直列弾性要素 / 多関節ロボット制御 / 非線形力学 |
Research Abstract |
1.水平直列弾性関節ロボットにおいて弾性要素なしでは得られない最大運動エネルギを関節可動範囲内で得るフィードバック制御の枠組みとして「フィードバック励振制御」および「励振限界超曲面」を提案した。フィードバック励振制御は共振現象に示唆を得た制御法であり、エネルギ単調増加条件を定式化することにより多関節ロボットをはじめとする非線形システムにおいても共振に相当する状態を作り出す制御手法を提案した。また励振限界超曲面を併用することにより関節可動範囲制約をオンラインで考慮することが可能な手法を提案した。本制御システムの応用例として投擲運動実験を行い、提案手法の有用性を実験的に検証した。また、本手法を重力の影響を受けるロボットに拡張する過程で、各関節への制御指令に同期構造を持たせることによってより高い運動エネルギ増大効果が得られることをシミュレーションによって見いだした。 2.フィードバック励振制御は、モータの仕事を弾性要素を介していかに効率よくリンクへ供給するかという観点で設計された制御器だが、最適なエネルギ分配という観点からは巨視的な視点も重要となる。例えば助走を伴う跳躍運動の場合、助走で得られた重心運動エネルギをいかに跳躍のための運動エネルギに変換するかが重要となる。このような巨視的エネルギ分配の例として棒高跳び運動の解析を行った。棒高跳び運動を1軸力を受ける1質点モデルで近似することで、助走を伴う跳躍運動が2つの無次元パラメータによって特徴付けられることを示した。解析モデルの妥当性は斜面滑走型の簡易実験装置によって検証した。棒高跳び運動は主にスポーツ科学の分野で解析が進められているが、遺伝的アルゴリズムなどの探索的手法に依らずにロボットの設計パラメータを概略的に見積もる方法を提案したことが本研究での成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般的な解が存在するかが不明な問題に対し、少なくとも効果のある解を示しているという点で重要な成果を得ている。さらに解析と考察を深めることで本研究の目指すところである「特定部位の運動エネルギの最大化」を実現する手法の確立が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ロボット全体の総エネルギを特定部位に分配する手法の確立が今後の課題となる。また、最適な関節剛性はタスクによって異なることが予想されるため、剛性可変機構の導入および剛性制御法の確立も課題となる。次年度はこれらの課題に取り組むとともに、検証実験用ハードウェアを新たに開発する予定である。次年度の予算は主に検証実験用ハードウェアの開発費および研究成果発表経費に充てる予定である。検証実験用ハードウェア開発に60万円程度(アクチュエータ、マイコンボード等購入費)、研究成果発表経費に30万円程度(学会発表旅費、学会発表参加費、論文投稿費等)使用する予定である。
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Research Products
(5 results)