2013 Fiscal Year Annual Research Report
ロボットにおける特定部位の運動エネルギを最大化する慣性と弾性のエネルギ分配計画法
Project/Area Number |
12J03085
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
本堂 貴敏 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 時間反転積分法 / 直列弾性要素 |
Research Abstract |
平成25年度は、投擲・蹴球・打撃運動などの「非周期スイング運動」において、特定リンクの運動エネルギを最大化する手法について研究を行った。多関節ロボットシステムにおいては、制御入力(関節トルクなど)のシークエンスが与えられた時に、終端状態(投擲では投擲対象リリース時の状態)を計算することは容易であるが、その逆(ある終端状態を実現するための制御入力シークエンスを求めること)は困難である。本研究では、目標終端状態を実現する制御入カシークエンスを1回の数値積分で計算する手法として「時間反転積分法」を提案した。本手法では、運動方程式を、時間を遡る方向(反転時間方向)にシミュレーションする。このとき、ロボットの時間反転された運動に対してブレーキをかけるような制御入力を与える。シミュレーション上のロボットが静止したら、その時の姿勢を実際のロボットの初期姿勢とする。実際のロボットには、シミュレーション時とは逆向きに制御入力シークエンスを再生して入力することで、目標とする終端状態を実現する。直列弾性要素を有するロボットにおいては、強い摩擦力の発生源である減速機と、高い運動エネルギを持っロボットリンクが分離しているため、それぞれ個別のブレーキメカニズムが必要である。そこで、ロボット本体の運動とモータ軸の運動を仮想的に分離し、ロボットリンクと弾性要素へのブレーキと摩擦による加速力へのブレーキを個別に行うことで、直列弾性ロボットにおいても時間反転シミュレーションを行うアルゴリズムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は前年度の研究成果を踏まえて、本研究の目標である特定部位の運動エネルギの最大化を保証する基本的な枠組みを提案している。モデル誤差の補償法や全身運動への適用法を確立することで、本研究の当初の到達目標に達成できる見込みであるため、おおむね順調に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
時間反転積分法は数値シミュレーションに基づいて制御入力を計算する手法のため、シミュレーションモデルと実際のロボットに誤差があると計算通りの終端状態が実現されない。これに対応するためのモデル誤差補償法の構築、各部位の剛性の最適化法(すなわち受動要素の設計法)の確立、多自由度全身ロボットへの適用と多様な運動生成などが次年度の課題である。多自由度全身ロボットについては、今年度開発した弾性関節モジュールをベースに、現在小型ヒューマノイドロボットの設計に着手している。
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Research Products
(5 results)