2012 Fiscal Year Annual Research Report
行動経済学的アプローチによる相互依存的選好に関する研究:環境政策への応用
Project/Area Number |
12J03146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 伸幸 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013-03-31
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Keywords | behavioral motivation / social preferences / water quality trading / stated preference |
Research Abstract |
集団的意思決定は個人の意思決定に基づいて行われる。したがって、環境に関する集団的意思決定をモデル化するためには、不確実性下における認知バイアスや他者の選好との相互依存性など、どのような行動的動機をモデルに組み込むべきかを実証的に明らかにしなけらばならない。 本年度は、環境に対する個人の選好と行動的動機の関係を明らかにするため、社会的選好が個人の環境に対する選好に与える影響と、不確実性下における個人の意思決定に関する研究を行った。前者の研究では、消費者の利他的な動機が太陽光発電などのグリーン電力の発電施設の設置に対する寄付行動に与える影響について分析を行った。これまでの研究で、利他性の高い個人は閾値の影響を受けるが、利他性の低い個人は閾値の影響を受けないことを明らかにした。また後者の研究では、福島第一原子力発電所事故による食品の放射能汚染に対する消費行動、水質取引オークションにおける農家の入札行動、次世代自動車のインフラ整備に関する研究を行った。食品の放射能汚染に関する研究では一般の消費者約1000人を対象に選択型実験のインターネット調査を行い、現在分析を行っている。水質取引に関する研究では、汚染寄与度が同質の汚染源のみが参加する水質取引オークションでは、オークションを繰り返し実施することで、入札者のビッドシェイディングが減少し、効率性が改善されることを示した。次世代自動車のインフラ整備に関する研究では、約1500人を対象に自動車の購入選択に関する選択型実験をインターネット調査で行い、次世代自動車のインフラ整備に対する消費者の選好について分析を行った。この研究成果はTransportation Research Part D : Transport and Environmentに掲載されている。
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Research Products
(4 results)