2013 Fiscal Year Annual Research Report
クメール・クロムのアイデンティティ-生れ故郷のベトナムとルーツとしてのカンボジア
Project/Area Number |
12J03147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下條 尚志 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ベトナム・メコンデルタ / カンボジア / クメール・クロム / 統治 / 生存 / 戦争 / 社会主義 / 政治社会史 |
Research Abstract |
◎研究の目的 : 本研究は、ベトナム南部メコンデルタ地域を生まれ故郷としながらも、仏教などを通じてカンボジアの多数派クメールと関わってきたクメール・クロムと呼ばれる人々を主な対象とする。本研究の目的は、20世紀後半、新たに誕生したベトナム、カンボジア両国の激変する政治状況が、メコンデルタにおいてカンボジアと深く関わってきた人々の生活にいかなる変化を迫り、その変化に人々がどう対処してきたのかを解明することである。また両国の独立前夜(1945~1954年)に勃発した民族間衝突やベトナムのカンボジア侵攻(1979年)など、民族問題に関わる過去の事件にかれらはいかなる影響を受け、現在それらの出来事をどのように解釈しているのかという問題についても検討する。 ◎研究成果 ①2013年12月の東南アジア学会第90回研究大会(東京外国語大学)にて、「ベトナム戦争時代メコンデルタにおける統治と生存をめぐるせめぎあい」を発表した。 ②2014年1月、単著論文「メコンデルタにおける統治をめぐるせめぎあい―地域社会の人々のローカル秩序と回避の「場」(1976~1988年)」『東南アジア研究』第51-2号, pp227-266(査読有)が掲載された。 ③2月14日~18日にかけ、ベトナムの最大都市ホーチミン市とメコンデルタ・ソクチャン省ブータン社で、また2月18日~22日にかけ、カンボジアの首都プノンペンでクメール・クロムのアイデンティティに関する聞き取り調査を行った。 ④2014年3月、投稿論文「開発体制下南ベトナムの国家建設―農地改革、農村再編、クメール系上座仏教徒問題への対処に焦点を当てて」を学術雑誌『アジア・アフリカ地域研究』に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、論文を1本学術雑誌に掲載し、さらには現在投稿中の論文が一本ある。また積極的に学会・研究発表を行い、様々な地域、分野を研究している研究者の方々から貴重なアドバイスを頂き、博士論文の下地となる構想を練る上げることができた。それゆえ平成26年度は、これまで蓄積してきた研究を適切に整理して、博士論文を書き上げることが可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の計画として、4月から7月の間にかけ、現在投稿中の論文や、共同研究で学術雑誌に掲載する予定の論文を書き上げる予定である。その後8月にベトナムにおける調査地ヘフィールドワークしに行き、博士論文執筆のために必要なデータの再確認作業を行う。9月以降は、博士論文の執筆・編集に取り込み、12月末には京都大学に博士論文を提出する。
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Research Products
(2 results)