2012 Fiscal Year Annual Research Report
脱窒素を伴うアリール化反応の研究と不斉Lewis塩基触媒を用いた不斉合成への展開
Project/Area Number |
12J03172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 貴之 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アリール化反応 / 脱窒素 |
Research Abstract |
本年度は求核試薬としての各種シリルジアゼンを合成してその安定性や物性を評価・確認すると共に、ベンズアルデヒドなどの単純な基質に対する反応性を確認し、反応が進行するものについてはクロスオーバー実験を行って、アリールアニオンが中間体として存在しているかどうかの知見を得ることを目的として基礎的な検討を行った。計画に従ってシリルジアゼンを実際に合成したところ、本化合物は通常の保存条件下若干の不安定性を有しており、また、その高い沸点により高極性官能基化や分子サイズの増大といった誘導体合成が困難であることが明らかとなった。合成された標準的なシリルジアゼンは、申請者の目論見通り、ベンズアルデヒドなど代表的な求電子剤の単純な添加に対してほとんど反応性を示さなかった。また、この化合物は通常のLewis酸触媒下でも求核剤としての作用を示さない一方で、銅やパラジウムといった遷移金属触媒の添加やテトラブチルアンモニウムフルオリドに代表されるLewis塩基によって脱窒素を伴った連鎖的な分解反応を起こすことが明らかとなり、一部の反応における副生成物の分析によりジアゼンへの求核的あるいはラジカル的な付加反応によるヒドラジン誘導体の生成が示唆された。本研究の目的である脱窒素を伴うアリール化反応の開発を目指す上で、これらの知見は試薬の基礎的性質のみならず汎用的な方法論確立の障害となり得る一定の制限を明らかとするものであり、長期的視点から今後の研究にとって意義深いものであると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シリルジアゼン自体に想定外の不安定性が観察され、その合成法確立・反応性検討・誘導化検討に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
目標である汎用的な合成法確立に向け、より安定性の高く反応性の低い脱窒素前駆体を用いる必要性が想定されることから、スルホニルヒドラゾンの利用を視野に入れて今後の検討を行う予定である。
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