2012 Fiscal Year Annual Research Report
情動出力の多因子統合解析法を用いた非接触測定による臨床診断支援システムの開発
Project/Area Number |
12J03188
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
三村 喬生 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会性機能 / 多変量解析 / 扁桃体 / 高感受性期 / 行動定量技術 / 情動状況予 / 診断支援技術 / モデル動物 |
Research Abstract |
申請者は、社会性場面における情動出力を行動因子に分解し統合的に評価する系を用い、社会性機能障害の臨床診断・治療効果評価に利用可能な、統計的評価モデルを開発する事を目的とし、研究を進めてきた。また、評価モデルの神経生理的裏付けを得るため、並行して、モデル動物を用い、行動・神経機能の両面から社会性機能基盤の解明を進めてきた。 初年度達成目標を下記1-4にまとめた。 1.社会性場面における接触・非接触を含む情動機能因子の基礎データの収集 2.非接触因子のみで社会性情動を測定できる評価平面の構築 3.サプリメント投与による社会性応答行動変化の定量(霊長類モデル) 4.的環境制御による扁桃体細胞機能変化の定量(鳥類モデル) 上記、達成目標に対し、下記の研究成果を挙げた。ヒト対象の長期行動・環境モニタリングを実施し、これまでモデル動物を用いて開発してきた解析系を発展させ、行動・環境・心理状況についてデータ処理プログラムの基本的構成の開発に成功した(目標1)。本系を用いる事で、情動心理状況と強く結びついた動作・環境パタンの検出に成功し、発表した旧標2)。現在、論文執筆中である。モデル動物を用いた基盤研究では、霊長類モデルに対する還元型コエンザイムQ1Oの経口投与による社会的行動変化を検出し旧標3)、鳥類モデルにおける解析系に関する基礎論文、社会的環境制御に対する高感受性期についての論文を執筆した。扁桃体神経機能の探索については、関連因子の同定・検証を進めた(目標4)。 また、上記研究成果をもとに博士論文を執筆し、博士号(工学)を取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
人間および動物の行動・生理学的応答の計測に基づいて社会性情動・認知機能の状態を評価するアルゴリズムの開発に取り組み、それぞれ新規性のある成果を上げ、5本の論文にまとめて発表した。特筆すべき成果として、人間の解析では、動物飼育作業を運動センサによって記録し、統計学的解析から、作業の効率性、快適性を判別するアルゴリズムを開発した。ヒヨコの解析では、社会性情動発達の臨界期の存在を行動学的に示すことが出来た。さらに、その行動獲得と情動制御に中心的な役割を果たしている扁桃体の細胞構築の相関性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト対象研究からは、本年度の成果から作業時心理状況と関連付けられた動作パタンの検出に成功した。次年度はこれを踏まえ、目的とする社会的場面における情動状態についてデータ集積・解析プログラムの開発・改良に取り組む。更に、ヒト対象研究と、モデル動物研究の双方で構築してきた長期モニタリング解析システムを統合し、技術的汎用性の向上に取り組む。 モデル動物研究では、霊長類を対象とした日常的な場面におけるイベント依存的体温変化の検出、家禽を対象とした扁桃体に着目した社会性神経基盤の解明に取り組む。
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Research Products
(7 results)