2014 Fiscal Year Annual Research Report
パイロクロア型イリジウム酸化物における新奇な量子磁性と伝導現象の研究
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12J03194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 洵 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パイロクロア / イリジウム酸化物 / バンドトポロジー / 幾何学的フラストレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
物性物理学においては理論によるトポロジカル絶縁体の発見に刺激を受け、バンドトポロジーの効果が注目を集めているが、バンドトポロジーが強相関電子系に及ぼす効果については未解明な部分が多い。その中でもワイル半金属状態などの新奇な電子状態の発現が予言されており、電子相関およびスピン軌道相互作用が大きな5d電子系であるパイロクロア型イリジウム酸化物は、強相関電子系においてバンドトポロジーの効果を研究するにあたって格好の舞台である。我々はパイロクロア型イリジウム酸化物の単結晶の純良化および大型化を行い、種々の物性測定を行った。磁気秩序を示さず自発的異常ホール効果を示すPr_2Ir_2O_7と磁気秩序を示すPr_(2-x)Ir_(2+x)O_(7+d)試料との差異は、これまで明らかにされていなかったが、電気抵抗測定により磁気転移温度において電気抵抗が減少する異常を見出し、さらに極低温における比熱測定により磁気転移に伴う明確な比熱の異常を発見し、詳細な磁気エントロピーの見積もりによって転移温度においてポーリングの残留エントロピーに対応する量のエントロピーが解放されているが明らかになった。このことは、単結晶試料を用いた中性子散乱実験の共同研究によって明らかにされたPr_(2-x)Ir_(2+x)O_(7+d)試料の磁気構造が”2-in 2-out”相関をもった反強磁性秩序であることと整合する結果である。ホール抵抗の測定結果からキャリア密度を見積もったところ、磁気秩序を示すPr_(2-x)Ir_(2+x)O_(7+d)試料は磁気秩序を示さない試料と比較して一桁以上キャリア密度が高いことが明らかになった。このことは、組成変化によるキャリア密度の上昇によって、RKKY相互作用による磁気秩序が発達している可能性を示唆していると考えられる。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)