2012 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカの農村開発における果樹栽培の位置づけ-在来果樹の台木利用を事例として-
Project/Area Number |
12J03265
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福田 聖子 名古屋大学, 国際開発研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マラウイ / 熱帯高地 / 換金作物 / 改良品種の導入 / 食糧安全保障 / 温帯果樹 / 非政府組織(NGO) / 国際アグロフォレストリーセンター(ICRAF) |
Research Abstract |
(意義)国際社会の目標である「飢餓半減」「生物多様性の保全」というマクロな視野に立ち,わが国とアフリカ諸国との間に介在する国際開発に関する諸問題の解決に向けて,アフリカの農村開発における事例を通して,ミクロな視点から分析を行う. (重要性)今後の国際開発分野における新たな研究手法の開発としても本研究の成果が期待される. (研究の目的)広義には近年国際的な注目を集めているアフリカの農村開発における果樹栽培の位置づけを明らかにすることである.具体的には,果樹の「既存品種」を遺伝資源,また地域資源として活用しているマラウイ低地のカンキツ類栽培を中心に,高地の温帯果樹栽培の台木利用を事例として取り上げた. 南東部アフリカに位置するマラウイでは,政府が新たな換金作物として果樹栽培に注目してきた.低地ではカンキツ類,高地では温帯果樹の改良品種導入に伴い,援助機関から技術移転等の支援を受けて,農村地域で果樹栽培が推進された.改良品種の導入が農業研究機関・普及所によって積極的に実施され,先駆的農家は大規模な果樹栽培および苗木生産を実践している. 一方,小農への果樹栽培定着の中でも,カンキツ類の改良品種の導入とリンゴ苗木生産に関する技術的な制限要因が挙げられる.そのため,マラウイ政府は外部からカンキツ類の改良品種およびリンゴの台木を導入し,均一なカンキツ類栽培とリンゴの苗木生産を行い,果実品質の向上も目指している. しかし,南部ではカンキツ類「既存品種」の栽培を継続する農家と高地ではリンゴ「既存品種」を台木として活用し,接ぎ木技術によって改良品種を導入し,苗木生産を行う先進的な果樹苗木生産農家の存在が明らかになった. 本研究では,国際的には改良品種の栽培が主流となっている南部のカンキツ類栽培と新しい台木系統の育成・選抜が進んでいるリンゴにおいても「既存品種」を台木として苗木生産に活用するマラウイ高地の事例に焦点を当て研究を行った.マラウイにおける現地調査では,人文社会学の手法に基づく聞き取り中心の調査を行い,研究成果を各学会で報告し,投稿論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4,10月「日本熱帯農業学会」5月「日本アフリカ学会」,5,12月「国際地域開発学会」9月「農業経営学会」12月「国際開発学会」において研究成果の口頭発表を行い,7月に「開発学研究」研究論文を投稿した(12月受理).現地本調査1回目を7上旬から9月中旬にマラウイ南部ムワンザ県4ヵ村,58世帯のカンキツ類の栽培農家を対象に,質問票を用いたサンプル収集.カンキツ類の栽培地域において,既存品種と改良品種の栽培特性を比較した.2回目は12月下旬3月中旬に実施し,高地における温帯果樹の収穫果実を用いて,果実品質比較実験を実施した.また果樹農家の果樹栽培に対する認識調査に関する質問票を回収した. 平成25年3月本調査結果をもとに各分析および追加の論文調査をおこない投稿論文を執筆した. 3月下旬「国際園芸学会(タイ)」「日本熱帯農業学会(茨城大学)」において研究成果の報告をおこなった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書の時点では,「在来果樹」・「在来品種」・「在来種」という単語を用いていたが,学会発表や研究・調査を進めていく上で,不適切であることが判明したため,以後,「既存品種」という単語に統一した. また,マラウイ高地における温帯果樹の栽培適性を農学(果樹園芸学)の手法に基づく実験(糖度計等の実験器具やデータロガーを用いた気温変化のデータおよび降水量のデータ等)で評価する予定であったが,現地の気象条件および時間的な制限により,本研究における評価は断念せざるを得なかった. 今後の予定としては,現地本調査に基づく学会発表および投稿論文・博士学位論文の執筆を中心に行う.「日本熱帯農業研究」「日本アフリカ研究」への論文投稿を予定している.
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Research Products
(9 results)