2013 Fiscal Year Annual Research Report
慢性ストレスによる不安、抑うつ様行動惹起におけるアクチン重合因子mDiaの役割
Project/Area Number |
12J03298
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
出口 雄一 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(SPD)
|
Keywords | アクチン / シナプス前終末 |
Research Abstract |
現在までのところ、海馬初代培養神経細胞のシナプス前終末においてアクチン重合因子mDiaによってシナプス間隙の両端付近にアクチン繊維が形成されることを免疫電子顕微鏡の実験法を用いることにより発見した。さらにこのシナプス前終末においてシナプス間隙末端に形成されるアクチン繊維がシナプス前終末の形態を収縮させることに重要であることを電子顕微鏡あるいは免疫染色法により見出した。さらにこのような神経細胞シナプス前終末の形態変化がシナプス小胞の放出頻度や伝達効率に影響を与えることを電気生理実験であるパッチクランプ法により証明した。またマウス個体において、社会隔離ストレスによる不安様行動の惹起にmDiaが重要であることをmDiaコンディショナル欠損マウスの解析により示した。さらにマウス個体においてもmDiaは培養神経細胞と同様にシナプス前終末の形態を収縮させることに重要であること免疫電子顕微鏡でmDia欠損シナプス前終末をラベルすることにより確認した。また社会隔離ストレスを与えた成体マウス脳より切片を作製しパッチクランプ実験を行うことにより、培養神経細胞と同様にシナプス伝達効率に影響を与えることを確認できた。 以上の結果より現在までのところ不明な点が多く残されている神経細胞のシナプス前終末の形態制御メカニズムさらにはその機能的役割の解明にシナプス前終末の形態制御におけるmDiaの役割を明らかにした本研究が貢献することが期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の成果はほとんど解明されていなかったシナプス前終末の形態制御分子メカニズム、並びにその機能的意義の理解に大きく貢献すると考えられる。さらにマウス個体において不安様行動惹起にmDia依存的形態制御が関与する可能性を示したことにより、不安障害の発症メカニズムの解明、並びに新たな治療薬の開発に貢献することが期待できる。 また平成25年度に本研究員は神経細胞に対する電気生理実験の技術を新たに習得した。このことは本研究員の今後の神経科学研究活動において重要な技術の一つとして大きく貢献すると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
mDiaあるいはその活性調節因子であるRhoがどのようなメカニズムによって活性化され、シナプス前終末の形態制御を行っているかは解明されていない。今後、この活性化メカニズムを解明することはシナプス前終末の形態制御に関する分子メカニズムの包括的な理解に貢献することが期待できる。
|
Research Products
(1 results)