2012 Fiscal Year Annual Research Report
個別要素法による地盤材料のモデル化に基づく地盤挙動予測/実務設計への適用
Project/Area Number |
12J03347
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福元 豊 京都大学, 農学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 数値シミュレーション / 個別要素法 / 地震応答解析 / 粒状体 / 石積み擁壁 / リップラップ / ダム / 並列コンピューティング |
Research Abstract |
粒子ベースのシミュレーション手法を地盤・土構造物の破壊問題・動的問題へと適用を進めた.解析対象は地震時のダム堤体リップラップ変状問題(研究A-1)と石積み擁壁の安定問題(研究A-2)とした.また,地盤のミクロな力学機構とマクロな挙動との関係性についての研究も行った(研究B).その結果,今年度は以下のような成果がそれぞれ得られた. 研究A-1に関して,粒子間接触モデルを考慮した3次元解析用のDEMプログラムの開発を終えた.並列化・ベクトル化アルゴリズムを組み込むことで,ダム堤体のような大規模構造物をモデル化し高速に解くことが可能となった.次年度より,堤体リップラップの変状形態を調べるための計算を詳細に行う予定である. 研究A-2については,共同研究者らが行った遠心模型実験を基にしたDEMシミュレーションを3次元で行った.実験結果と計算結果を比較することで,石積み擁壁の安定性・地震時変形を検討する上でDEMによる粒子ベースのモデル化が有効であることを示した.また,石積み構造物の倒壊モードに築石の形状が多大な影響を与えることがわかった.研究Bについては,粒状体パッキングの際の粒子回転抵抗が担う役割を調べるために2次元条件のDEMシミュレーションを行った.その結果,粒子回転抵抗は粒子の再配置の進展を阻害し,充填完了時の粒状体の幾何的な異方性を高めることがわかった.また,ミクロ・マクロ両方の視点から,充填された粒状体の応力状態も粒子回転抵抗の度合いによって大きく変化することを示した.この成果は,論文としてまとめ上げ,粒状体専門誌において今年度後半に掲載可となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年目までに終了予定の内容を,1年目の現時点において既に論文として投稿する準備を始めている.また,予定よりも早く3次元高速DEMプログラムを完成させたため,任期中に申請時の研究計画には無かった実地盤問題への適用が期待される.さらに,地盤のマイクロメカニクスに関する研究論文が今年度中に掲載された.以上の理由により,当初の予定より計画以上に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,今年度に自主開発した3次元DEMプログラムを活用し,堤体リップラップの変状形態を調べるための計算を詳細に行う.石積み擁壁の安定問題に関しては,これまでに得られた結果をまとめて論文化する予定である.地盤のマイクロメカニクスに関する研究に関しては,粒状体と間隙流体の相互作用による物理現象を解明することを目的としたDEM-LBMカップリングシミュレーションを新たに行うことを計画している.
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