2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路ダイナミクスにおける分子機構の解明とその人工的制御
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12J03395
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊東 大輔 北海道大学, 大学院先端生命科学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 培養神経回路網 / 同期バースト / 長期培養 / 遺伝子発現解析 / 多電極アレイ |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き「培養ニューラルネットワークの時空間ダイナミクスに寄与する分子機構の解明」を遂行した。前年度の成果により、培養神経回路網における最も顕著なダイナミクスである同期バースト現象に関与する分子の候補を同定した。これら候補分子が同期バーストの発生・維持にどのようなメカニズムで関わっているかを明らかにするため、薬剤による同期バースト発生の抑制を試みた。具体的には、後シナプスに存在するNMDA型およびAMPA型グルタミン酸受容体のブロッカーであるAP5とCNQXを長期的に投与することで、シナプス伝達を阻害した状態での長期培養を行った。薬剤濃度等の試行錯誤の結果、スパイク頻度や同期バースト頻度の減少は確認できたものの、同期バーストが完全に抑制されることはなかった。このとき、同期バーストの候補分子群の発現解析を行ったところ、コントロールと同様に発現が確認された。現時点では発現量の定量的な解析を行っておらず、リアルタイムPCRにより発現量の定量的な解析を行うことにより、同期バーストの頻度抑制機構を明らかにする必要がある。長期発達過程において回路網の形態変化を明らかにするため、免疫蛍光染色によるイメージングを60日間に渡り行ったところ、神経細胞が徐々に減少後飽和傾向を示す一方で、複雑な回路網は形成され続ける事が明らかとなった。また、神経回路網のダイナミクスをより詳細に明らかにするため、カルシウム親和性色素を用いたカルシウム画像法を導入し、多電極との同時計測系の構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に着手すべき課題に着手できている。また、カルシウム画像法や人工パターニング等の新たな手法を導入することで、様々な側面からダイナミクス解明に取り組めている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従い、入力刺激によるダイナミクスに着手する。入力刺激に対する応答解には既に進めており、これらの予備実験を元に最適入力を検証する。
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Research Products
(10 results)