2013 Fiscal Year Annual Research Report
カルボランの特異な構造・性質を利用した電子・光機能性材料の創成
Project/Area Number |
12J03404
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨永 理人 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カルボラン / ホウ素化合物 / 縮環型共役系分子 / nido-カルボラン構造 / 凝集誘起型発光 / 白色発光色素 |
Research Abstract |
当該年度において、以下の研究成果を挙げた。 (1)様々な芳香環縮環型ベンゾカルボラン含有共役系分子・高分子の合成 代表的な芳香族化合物であるチオフェンやベンゼンと縮環したベンゾカルボランを合成することに成功した。o-カルボラン誘導体の分子内環化反応を利用することで、これまで合成が困難だったベンゾカルボランを良好な収率で得ることが可能となった。得られた化合物はカルボランによってその分子構造が固定化され、非常に高い平面性を持ち、カルポランクラスターが強い誘起効果性電子求引を示すことから、ベンゾカルポラン部位のないモデル化合物と同程度のバンドギャップエネルギーを持ちながら、そのHOMO・LUMOエネルギー準位が大きく低下していることが明らかとなった。さらにカルポラン化合物に特徴的な脱ホウ素化反応によってnido-カルボラン構造を構築することで、新たな共役系との相互作用が光学測定、電気化学的測定、分子軌道計算の結果から確認でき、電子材料構築における有益なビルディングブロックであることが示された。 (2) o-カルポランの9、12位で結合した共役系分子・高分子の合成とその物性 o-カルポランの9、12位ホウ素に共役ユニットを置換した分子・高分子を合成することに成功し、溶液状態で共役ユニット由来の蛍光発光を示すことを明らかにした。一方、o-カルポランの1、2位炭素に共役ユニットを置換した場合、溶液状態では発光を示さず、フィルムや固体といった凝集状態で強く蛍光発光を示す凝集誘起型発光(AIE)を示すことが知られている。本研究ではそれら二種類の発光様式を示す共役ユニットを組み合わせたo-カルボラン色素を合成し、その光学特性を明らかにした。置換する共役ユニットの組み合わせによって、ホウ素部位由来の高耐熱性を示し、AIEを制御することができた。さらに、水中にてホウ素部位由来の局所励起発光と炭素部位由来の電荷分離状態からのAIEとの複合発光由来の白色発光を示すことができる単一分子角素を構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)に関しては、様々な芳香環が縮環したベンゾカルボランを合成することができ、それらを脱ホウ素反応によって構造変化を引き起こすことで、電子状態の劇的な変化を見出すことに成功し、当初の計画以上の成果が生まれている。(2)に関しては、o-カルボランクラスターの置換位置に共役ユニットを組み合わせることで高耐熱性なAIEポリマーが合成でき, 水中にて白色発光を示す単一分子色素を構築することにも成功しており、計画以上の成果を上げている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)に関しては、得られる芳香環縮環型nido-ベンゾカルボランの対カチオンの組み合わせによる、溶解性や電子状態の変化を詳細に調査し、安定性などを評価することで水中で安定に存在できるアニオン体として材料評価を行っていく予定である。 (2)に関しては、より精密な分子設計を行うことで水中においてより白色に近く高輝度な発光を示す色素を合成し、さらには固体状態、ポリマーフィルムに担持した状態での白色発光を示す材料も構築できる可能性があり、引き続き合成検討を行っていく予定である。
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Research Products
(9 results)