2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J03485
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
長竹 貴広 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, 研究員
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Keywords | 血液-胸腺関門 / 密着結合 / クローディン / 血管透過性 / スフィンゴシン1リン酸 |
Research Abstract |
1.血管内皮細胞株を用いた経内皮電気抵抗(TEER)測定 Cld5を強制発現させた血管内皮細胞株はGFPを導入した対照群に比べてTEER値が顕著に高く、バリア機能が強いことが示唆された。 2.Cld5 KOマウスを用いた血管透過性試験 胎仔の頚静脈よりトレーサーを投与し、胸腺における血管透過性を免疫組織化学的解析に供した。Cld5^<+/+>マウスの胸腺には血管内のみにトレーサーシグナルが検出されたものの、Cld5^<-/->マウスでは皮質実質領域にトレーサーが拡散していた。 3.スフィンゴシン1リン酸(SIP)の血管透過性試験 テトラメチルローダミンで標識したSIPをトレーサーとして用い、成体マウスの尾静脈より投与した。その結果、血液由来SIPは髄質領域に拡散するものの皮質領域実質では検出されなかった。血管周囲をさらに詳しく観察すると、Cld5陰性血管の周囲において強いSIPシグナルが観察された。興味深いことに、成体マウスの胸腺を観察すると、Cld5陰性血管の内腔にCD3^<High>リンパ球が観察された。PEで標識した抗CD4抗体を尾静脈より投与し血管内染色を行うと、選択的にCld5陰性血管の内腔に移出胸腺細胞が観察された。 以上の結果により、血液-胸腺関門の分子基盤としてCld5が必須の役割を果たすこと、さらに、その免疫生物学的意義の一端として、成熟胸腺細胞の移出箇所を限定し、髄質での自己寛容成立を確実なものとしている可能性が示唆された。本研究結果は、Cld5の発現を制御することで胸腺細胞の移出を制御する新たな免疫調整薬の開発に向けた基礎的基盤情報になると考えられる。
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Research Products
(2 results)