2012 Fiscal Year Annual Research Report
高次脳機能に関する神経活動のリアルタイムイメージング研究
Project/Area Number |
12J03493
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中井 剛 名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カルシウムイメージング / GCaMP / GCaMP Tgマウス / Free-moving / 蛍光ファイバースコープ |
Research Abstract |
本研究では、in vivo共焦点蛍光ファイバースコープを用いて高次脳機能の発現に必要な神経活動をリアルタイムに、かつ高解像度に検出する世界に類を見ない実験系の確立を目的としている。そのため、代表者はカルシウムバイオセンサーであるGCaMPをウイルス化することにより、マウスの脳内に遺伝子導入させ、神経回路の活動を可視化できるかについて検討するとともに、神経細胞特異的にカルシウム動態を測定できるGCaMPトランスジェニック(Tg)マウスの有用性を検討した。 神経細胞特異的にGCaMP4を発現するウイルスを作製し、海馬初代神経細胞に感染させ、その発現量及び刺激に対するカルシウム応答性について検討した。十分なGCaMP4の発現量は確認できたものの、種々の薬物刺激に対するカルシウム応答性は微弱であった。そのウイルスをマウス脳内(海馬)に感染させたところ、同様にGCaMP4の発現が確認されたが、電気・薬物刺激およびfree-movingに対する十分なカルシウム応答性を確認することはできなかった。 神経細胞特異的にカルシウム動態を測定できる可能性のあるGCaMP4 Tgマウスを作製した。十分なGCaMP4の発現量が認められたため、電気・薬物刺激およびfree-movingを行ったが、十分なカルシウム応答性が認められなかった。 このため、埼玉大学中井淳一教授を訪問し、GCaMP4の改良型であるGCaMP6を寄与頂き、新たにウイルスを作製し、神経細胞レベルで発現量及びカルシウム応答性を顕著に認めることができた。今後、このウイルスを用い、in vivoの解析を行う。 研究の最終目的は、上記の条件から検討された実験と学習や記憶に関わる行動実験とを組み合わせたカルシウムイメージング法を確立することにある。そのため、学習や記憶などの行動実験について、その手法及び解析方法を学び、経験および実績を積んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実験計画については、予定していた実験をおおむね順調に行うことができた。しかしながら、カルシウムバイオセンサーGCaMP4のカルシウム応答性が想像していたよりも低かったため、実際には良い結果をあまり残すことができなかった。そのため、実験に関しては進展しているが、見合っただけの十分な結果が付いてきていないため、やや遅れていると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はGCaMP4の改良型であるGCaMP6を用いて、高次脳機能に関する神経活動のリアルタイムイメージング研究を遂行していく予定である。GCaMP4で行った実験条件や方法を参考にできるため、スムーズに実験を遂行することが可能であると考えている。 また、In vivo共焦点蛍光ファイバースコープの感度についても検討する必要があると考えており、2光子顕微鏡を使用したin vivoカルシウムイメージングを同時に行うことを計画している。そのため、先月すでに、北海道大学根本知己教授の研究室にて、2光子顕微鏡を用いたin vivoカルシウムイメージングの方法について、学んできており、着々と準備を進めている。 研究目的遂行のためには、学習や記憶などの行動実験も重要であり、今後も更に研鑚を積みたいと考えている。
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