2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J03502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 隆志 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 全身性強皮症 / 線維化 / IRF5 |
Research Abstract |
全身性強皮症(systemic sclerosis ; SSc)は皮膚および内臓諸臓器の血管障害と線維化を主徴とする膠原病で、患者のQOLおよび予後を著しく障害する重大な疾患であるが、未だ病因は解明されていない。線維化の形成には局所に浸潤する炎症細胞によって産生されるサイトカインが重要な役割を果たしていることが知られているものの、その免疫学的異常のメカニズムは明らかではない。近年、SSc患者の末梢血、皮膚の遺伝子発現解析において、1型インターフェロンにより誘導される遺伝子の発現が増えていることが報告されている。そこで、1型インターフェロンのほか、多数の遺伝子を誘導する転写因子である Interfero Regulatory Factor5(IRF5)のSScにおける役割について解明する。ブレオマイシン(BLM)を皮下投与して作成するBLM誘発SScモデルマウスは、皮膚および肺の線維化、自己抗体の産生、真皮への炎症細胞浸潤を呈し、SSc患者の病態をよく反映するモデルマウスであると考えられている(Yamamoto Arch Dermatol Res 2006)。BLM投与によって引き起こされる一連の炎症細胞活性化は、ヒトSSc患者においても認められる現象であり、BLM誘発SScモデルマウスにおける皮膚および肺線維化の誘導はSScと類似した免疫学的異常によることが推察される。本年度はIRF5が全身性強皮症の病態における関与を検討するためにIRF5ノックアウトマウスを用いてBLM誘発強皮症モデルマウスを作製した。IRF5ノックアウトマウスでは野生型マウスと比較してBLM投与によって誘発される皮膚・肺の線維化が有意に減弱した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IRF5ノックアウトマウスではブレオマイシンによる皮膚・肺の線維化が野生型に比較し減弱することが示された。今後はブレオマイシンによる線維化の減弱の機序につき検討することとする。
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Strategy for Future Research Activity |
IRF5ノックアウトマウスでのブレオマイシンによる皮膚・肺における線維化の減弱における機序について、全身性強皮症の病態に重要な役割を担う線維芽細胞、免疫細胞、血管内皮細胞in vitroで検討する。
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