2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの顔は特殊か?モルフィング画像と脳反応の時空間パターン解析
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12J03557
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 絵美 九州大学, 医学研究院・臨床神経生理, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 顔 / 認知 / 事象関連電位 / N170 |
Research Abstract |
本研究の目的は、顔認知による種の同定過程の時空間パターンを事象関連電位(ERP)及び脳磁図(MEG)を用いて検討することである。本年度は、主に事象関連電位(ERP)による検証を行った。 本年度は、「空間周波数の影響」と「顔認知における同定と知覚」を検討するため3パターンの実験を健常成人12名に対して実施した。視覚刺激の空間周波数による事象関連電位への影響を検証するため、刺激の空間周波数の平均パワー値を刺激間で均一にしたもの(調整刺激)と、空間周波数のパワー値を調整していないもの(無調整刺激)の2種の刺激を用意した。また、顔認知における同定と知覚を比較するため、刺激の顔をヒトかサルか2肢強制選択で判断しボタンを押す課題(同定課題)と刺激が出たらボタン押す課題(知覚課題)を実施した。3パターンの各実験は、実験1:調整刺激で同定課題、実験2:無調整無調整刺激で同定課題、実験3:調整刺激で知覚課題である。事象関連電位では、全ての実験で後側頭部に潜時150~170msの陰性成分(N170)が生じ、N170の振幅は刺激に含まれるヒトの割合によって有意に変調した。潜時は、調整刺激(実験1と3)では、振幅と同様に刺激によって有意に変調したが、無調整刺激(実験2)では変調はなかった。また、刺激呈示後300ms以降の成分では、同定課題(実験1と2)と知覚課題(実験3)で違いが確認された。 実験1の結果は、2012年7月のThe 2012 International Conference on Complex Medical Engineeringで口頭発表し、その結果にさらに分析知見を追加して2012年10月のThe 42th Annual meeting of the Society for Neuroscience 2012でポスター発表した。また、実験1に実験3を加えた結果を2012年10月の43rd NIPS International Symposium Face perception and recognitionでポスター発表し、実験1に実験2を加えた結果を第42回日本臨床神経生理学会で口頭発表した。今後は、これら事象関連電位の結果のまとめと脳磁図による実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、事象関連電位の実験及び解析は終了し、現在は論文としてまとめているところである。事象関連電位の実験では、実験の目的であったN170の種特異性(顔特異的な成分とされているN170が種によって変調したこと)について明らかにし、刺激の空間周波数がN170に与える影響についても検討した。 また、次年度に予定している脳磁図の実験準備も整い予備実験まで終わった状態である。このため、平成24年度の目標は概ね達成できてた思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年民は予定通り、306チャンネルの脳磁図計を用いて顔認知における種の同定過程の検討を行う。 脳磁図による顔認知研究では、顔特異的な成分としてM100、M170の早期成分が知られている。ヒトの顔とサルの顔に対するM100、M170の振幅の違い、及び電流源の推定により種の同定における顔認知過程の脳モジュール構造の時空間的検討を行う。また、本年度実施した事象関連電位の結果と合わせて包括的な考察を行う。
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