2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J03587
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小山 美緒 千葉大学, 大学院融合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光渦 / ファイバーレーザー / 高出力レーザー |
Research Abstract |
本研究は加圧ラージモードエリアYb添加ファイバー増幅器を用いることで、光渦モード発生・レーザー増幅を同時に行う機能複合型の波長1064nm光渦レーザーシステムを開化している。さらに、この光渦レーザーシステムを励起光源として波長変換を行うことで、光渦の未開拓波長領域である可視(532nm)の高出力パルスレーザーを発生させた。 光渦とは、螺旋状等位相面と位相特異点によるドーナツ型の強度分布を持つレーザーの総称である。レーザーの進行方向とポインティングベクトルの差によってビーム強度断面内に現れる軌道角運動量の大きさは、周期的境界条件によって定義される量子数m(整数)を用いて2πmと表す。近年、光渦レーザーは波長1064nmにおいて高出力化・パルス化が進み、レーザーアブレーションによる金属面の少デブリ微細加工や、螺旋構造を持つ先端曲率半径36nmのカイラルナノニードルの創成といったレーザー加工応用が示されてきた。これらの対象物質には金属・半導体・有機物質などが考えられるが、効率の良いレーザー加工のためにはそれぞれの物質の吸収波長に合わせた励起光源の選択が必要となる。例えば太陽電池やメタマテリアルなどの材料であるシリコンは、その吸収波長を可視光領域に持つ。高出力光渦パルスレーザー光源はレーザー加工分野のみならず、メタマテリアルを媒質として多く用いるテラヘルツ発生分野など多分野の発展に貢献できると考えられる。 平成25年度において、波長1064nmの高出力光渦パルスレーザーを波長変換することにより、532nmの光渦パルスレーザー発生を行った。我々が知る限り、波長532nmの光渦パルスレーザーとしては世界最大出力が得られており、現在学術論文に申請中である。次年度は更に波長変換を行うことにより、波長355nm、さらには266nmの光渦レーザー発生を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Yb添加ファイバー増幅器から得られる波長1064nmの光渦パルスレーザーを励起光源とし、LBO結晶を用いた波長変換を行うことで、波長532nmの光渦パルスレーザー7.7Wが得られた。ファイバー増幅器から得られる光渦モードに混在するガウシアンモードを偏光分離することで、光渦モードの純度を高め変換光の空間モード品質を保ったまま高出力な532nm光が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はさらなる光渦パルスレーザーの波長変換により、光渦レーザーの波長を短波長側に展開させる。前年度までに得られた波長1064nmと532nmを励起光源とした和周波発生により、355nm光渦パルスレーザーを発生させる。非線形結晶は角度位相整合を取るTypeIIのLBO結晶を用いる。この非線形結晶にはWalk-off角が存在するため、光渦モードの位相特異点が分離する可能性がある。この影響を避けるために、位相特異点の分離距離を十分無視できる大きさの直径に励起光をコリメートした状態で波長変換を行うほか、結晶軸を反転させながら配置することで、Walk-off角の影響を打ち消すといった手法が考えられる。
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Research Products
(2 results)