2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代文学空間の再編成に関する超域的研究-松本清張ブームの文化的構造の日中比較分析
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12J03596
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尹 シセキ 名古屋大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 東アジアの推理小説 / 松本清張 / 法制文学 / 連環画 / 中国の日本文学翻訳 / 内幕もの / 日本の黒い霧 / 砂の器 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、まず中国で松本清張および日本の社会派推理小説がいかに翻訳され、読まれていたかを整理し、単行本出版や新聞雑誌での連載リストを作成した。それから、1980年代の中国の社会的変容を踏まえた上で、社会派推理小説がなぜ中国で人気を集めたか、中国の事件文学にどのような影響を与えたかを検証した。その成果を口頭発表の形で、「日本の社会派推理小説と1980年代中国の市民社会」を題に「東アジアと同時代日本語フォーラム第二回で発表した。それを元に執筆した論文「名探偵の「死」とその後--日本の社会派推理小説と中国の法制文学」は2015年6月に『跨境 日本語文学研究』(東アジアと同時代日本語文学フォーラム×高麗大学日本研究センター)第二集に掲載することなっている。 また、中国で広く読まれていた「連環画」という書物を通して、数多くの日本文学作品が知られたことを発見し、その受容史を整理した上で、「連環画における社会派推理小説の翻訳」および松本清張『砂の器』の連環画のテクスト分析を行い、論文「松本清張と「連環画」との遭遇--イメージの増殖と変容」を執筆した。この論文は2015年4月に、研究誌『大衆文化』(立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター)の第12号に掲載された。 他に、昨年度執筆した論文「「内幕もの」の時代と松本清張『日本の黒い霧』」を修正し、平成25年の課題「松本清張文学と1960年代日本のジャーナリズムとの関係性」を補完した。この論文は2015年10月に、国際日本文化研究センターの雑誌『日本研究』第52集に掲載される予定である。 以上の研究成果を加えて、博士論文の課題「現代文学空間の再編成に関する超域的研究--松本清張ブームの文化的構造の日中比較分析」の枠作りが概ね完成した。今年中に全体の統一性を整え、各論に細かい修正を施した上で、博士論文を提出する予定。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)