2012 Fiscal Year Annual Research Report
微分幾何学。特に、キャリブレーション、特殊なホロノミー群をもつ多様体の研究。
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12J03603
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河井 公大朗 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | G2多様体 / associative部分多様体 / coassociative部分多様体 |
Research Abstract |
1.最初に、運動量写像を一般化した多重運動量写像を用いて(co)associative部分多様体の特徴づけ、具体的構成に取り組んだ。トーラス作用で不変な場合、(co)associative部分多様体を商空間の中の概正則曲線、特殊ラグランジュ部分多様体等を用いて特徴づけた。これにより岩澤多様体の錐の上にいくつかの具体例の構成を行った。この論文はOsaka Journal of Mathematicsに投稿中である。 2.次に、Lie群の対称性を用いてcoassociative部分多様体の具体的構成を行った。作用が余等質性1の場合、上記PDEは軌道空間上のODEに帰着できる。これによりR7、S4の反自己双対東上のすべてのSU(2)、T2×R>0不変なcoassociative部分多様体を与える具体的な微分方程式を導いた。特にSU(2)作用の場合は、解をすべて具体的に決定した。この論文はCommunications in Analysis and Geometryに投稿中である。 3.次に、nearly parallel G2多様体の中のassociative部分多様体の無限小変形について考察した。ここでnearly parallel G2多様体とは、その錐がSpin(7)多様体となるもので、7次元佐々木・アインシュタイン多様体などを含む。またassociative部分多様体は、佐々木・アインシュタイン多様体内のspecial Legendrian部分多様体を含み、その対象は大変広い。 まずassociative部分多様体の無限小変形の空間を、2通りの方法で、あるtwisted Dirac operator Dの固有空間として特徴づけた。次に、7次元佐々木・アインシュタイン多様体内のspecial Legendrian部分多様体の場合に上記作用素Dを書き換え、special Legendrian部分多様体としての変形とassociative部分多様体としての変形の差を明確に記述することができた。 そして7次元球面S7の等質なassociative部分多様体に対して、上記の定式化を用いて無限小変形の空間を計算し、いくつかの場合に変形空間の構造を解明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重運動量写像を用いての特徴づけを行い、部分多様体の例を構成することができた。一方、多重運動量写像は、微分形式の次数が高くなるため扱いが難しく、シンプレクティック簡約を一般化するには至らなかった。 しかし代わりに、Lie群の対称性を用いての具体例の構成に成功した。既存の研究に比べて、単純かつ具体的な式を与えることができた。 また「研究の目的」にはなかったが、新たに上述の部分多様体の無限小変形について考察し、新しい結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず更なる具体例の構成を考える。先の研究では、S4の反自己双対東上で具体例を構成した。一方、CP2の反自己双対束、およびS3のスピノール束もG2多様体になり、更にこれらはS7に稠密に埋め込まれることが知られている。 S7に埋め込まれた外在的な視点から、部分多様体の構成を考える。外在的な視点から考えることによって、局所座標をとる必要がなくなり、部分多様体をより明確に理解できる。 また計画にはG2構造のモジュライを考えるとしていたが、特にその部分多様体に着目して考える。先の研究ではS7内のassociative部分多様体の変形空間について理解したが、それ以外の具体例に対しても考察し、性質を一般化できないか探る。
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Research Products
(6 results)