2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J03612
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
反田 美香 近畿大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 完全WKB解析 / Voros係数 / Voros係数のBorel和 / 超幾何微分方程式 / パラメトリックStokes現象 / WKB解 |
Research Abstract |
本研究では、超幾何微分方程式における完全WKB解析の研究を行った。古典的超幾何微分方程式は古くから様々な分野で多くの研究が行われていたが、完全WKB解析と超幾何微分方程式の関係については自身の先行結果である古典的超幾何微分方程式のWKB解のBorel和として得られる解とKummerの解の基本系の定数倍を除く線形関係が明らかになっただけであった。そのため、この定数を明らかにするために竹井先生や小池先生の先行結果であるWeber方程式やWhittaker方程式のVoros係数と呼ばれるものを古典的超幾何微分方程式で考察した。古典的超幾何微分方程式のVoros係数は先行結果であるWeber方程式や Whittaker方程式の議論を拡張することにより定式化し、具体的な表示を求めることできた。また、完全WKB解析はパラメータを無限に飛ばした時の解の漸近挙動を考察するために重要な分野である。その漸近挙動を研究するために非退化のStokes幾何のパラメータにおける分類を行った。さらに非退化StokesごとにVoros係数のBorel和を求め、比較することにより非退化Stokesごとの相互関係を明らかにした。また、各非退化Stokesの相互関係を利用してパラメトリックStokes現象と呼ばれるWKB解のパラメータに関するStokes現象の解明を行った。漸近挙動は非退化Stokeごとに考察できると考えている。そのため無限遠方にパラメータを飛ばし解の漸近挙動を考察するにはパラメトリックStokes現象は重要だと考えている。 今年度得られた結果を基とし、超幾何微分方程式のWKB解と超幾何関数の関係式に合流操作を施して現在近畿大学の青木先生と高橋さんとの共同研究であるKummer方程式における完全照B解析の結果と対比させた。現在の結果として超幾何微分方程式のVoros係数とKummer方程式のVoros係数との関係を合流操作の立場から明らかにさせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目標に記載した内容を研究し結果を得ることができた。 さらに超幾何微分方程式のWKB解に対するパラメトリックStokes現象の解析についても研究成果を得ることができた。また、Kummer方程式のVoros係数と超幾何微分方程式のVoros係数との関係を合流操作の立場で考察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
完全WKB解析の立場からパラメータを無限に飛ばした時の解の漸近挙動を考察する。この時、Stokesが非退化の場合は考察できるが退化の場合は考察できない。そのため、超幾何にプランク定数の逆である大きなパラメータを導入するとき、現在の導入方法とは別の方法で導入することにより退化を非退化にさせ、退化の場合も漸近挙動が考察できると考えている。また、Voros係数だけでなく今年度得られた結果を基として超幾何関数の関係式に合流操作を施してKummer方程式の結果と対比させる。同様に、先行結果であるWeber方程式やWhittaker方程式についても超幾何関空との関係を合流操作の立場から明らかにしたいと考える。さらに、多変数超幾何微分方程式における完全WKB解析の研究も古典的超幾何微分方程式の結果を利用して、行う予定である。この、古典的超幾何微分方程式における完全WKB解析を考察した時と同様、隣接関係式を利用すると考えている。そのため多変数超幾何微分方程式の隣接関係式を求める。
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Research Products
(10 results)