2012 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化性疾患のリスク解析のための統計学的モデルの構築とリスク評価手法の確立
Project/Area Number |
12J03626
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高原 充佳 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リスク解析 / 動脈硬化性疾患 / 代謝異常 |
Research Abstract |
重症虚血肢の予後関連因子の検討にあたり、データベースの構築、管理に着手した。血行再建術施行時点の患者背景(糖脂質代謝関連因子などの臨床パラメータ、合併疾患、投薬内容等)の調査や、下肢予後・生命予後の追跡に加え、各種臨床パラメータの経時的変化をひきつづき追跡している。これまでの成果として、後ろ向きの解析により、ベースライン時におけるサルポグレラートの服用が下肢大切断回避生存と関連していたことを見出し、論文報告した。 また、リスクモデルの構築に先立ち、既存の各種予測モデルの限界、問題点についても探求を進めた。動脈硬化性疾患の危険因子として知られる各種臨床パラメータの臨床的意義についての統計学的な再考を進める過程で、1、一般集団において代謝異常が集積していてもウエスト周囲長の増大を認めない者が多数存在すること、2、一般集団におけるインスリン抵抗性の代表値は肥満指数(BMI)やウエスト周囲長の代表値で十分予測しうること、3、耐糖能の低下と膵β細胞機能の低下との関連には肥満の有無は影響しないこと、4、インスリン感受性の指標であるMatsuda indexの日本人における基準値はおおよそ4未満と考えられること、5、健常な若年女性においても血中アディポネクチン濃度は腎機能とH肌コレステロール値と関連すること、を見出し、これを論文報告した。 さらに、動脈硬化進展のリスク因子として近年注目されている、糖尿病患者における血糖変動にも着目し、あわせて検討を進めた。その結果、持効型インスリン使用中の2型糖尿病患者においてDPP-4阻害薬の導入が血糖変動幅の縮小と関連していることを見出した。リスクモデルの構築にさいしては同薬剤の服用状況も加味することの重要性を示唆しているものと考えられ、これを論文報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目標である新たなリスクモデルの構築に向けて、リスク解析における統計学的再考を行う過程で、各種モデルの持つ問題点・限界がより一層明らかとなった。さらにその過程で得られた知見自体が臨床上重要な報告として論文発表につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
各種統計学的モデルの持つ問題点、限界についてさらに検討を加え、リスクモデルの改良につなげていく。また構築しつつある重症虚血肢のデータベースを用いてリスク解析を行い、予後関連因子の同定を行う。
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