2012 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞からの筋形成過程におけるジストロフィン機能:1分子イメジングによる解明
Project/Area Number |
12J03655
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陳 莉敏 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 1分子観察 / 筋ジストロフィー / iPS細胞 |
Research Abstract |
本研究では、2つの膜構造体、すなわち、ジストロフィン-ジストログリカン複合体(DP-DG複合体)と接着斑(focaladhesion=FA)、について以下の3点を明らかにすることを目標としている。(1)DP-DG複合体、FA、それらとアクチン膜骨格まで加えたシステムが、どのように形成されるか、(2)筋組織の分化過程や筋細胞に外力負荷が繰り返されたとき、そのシステムがどのように変化するか、(3)DPの欠損や変異が、分化過程や膜の力学的安定性にどのような影響を及ぼすか。 昨年度は、DP-DG複合体とFAが筋組織の発生過程で形成される機構、さらに、筋細胞の細胞膜を安定化する機構を調べるため、まず、ES/iPS細胞を用いたDGの1分子観察系の確立を進めた。まず、Es細胞にDGの遺伝子をトランジェントトランスフェクションするのではなく(効率が悪い上に面倒なので)、DG-GFPを安定発現するES細胞株を樹立した。この細胞株では、DG-GFPが安定発現しているのみならず、その発現量をdoxycycline濃度依存的に替えることに成功した。すなわち、この細胞株を用いれば、分化の途上でdoxy(ycline濃度を変化させ、DG-GFPの発現量を調整することができる。またこれによって、DP-DG複合体が分化過程で形成される機構を調べることが可能となる。 さらにFAの形成機構について、株化培養細胞を用いて調べた。Rac1(FAの組成分子)は、FAの中で自由拡散を行っており、拡散係数は、FA外の1/3であった。すなわち、FAは、多くのタンパク質からなる1個の巨大な凝集塊ではなく、タンパク質の小集合体からできた島が、群島のように集まって出来た構造体であることが分かってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、まず、接着斑は、タンパク質の小集合体からできた島が、群島のように集まって出来た構造体であることが分かってきた。これらは、2報の論文として出版された。 ジストロフィンージストログリカン複合体(DP-DG複合体)については、ES/iPs細胞を用いたDGの1分子観察系の確立を進めた。DG-GFPを安定発現するES細胞株を樹立し、その発現量をdoxycycline濃度依存的に替えることに成功した。これによって、DP-DG複合体が分化過程で形成される機構を調べることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、DG-GFPを安定発現するES細胞株を用いて、DP-DG複合体が分化過程で形成される機構を調べる。さらに、DP-DG複合体と会合するsarcoglycanとsarcospan(膜貫通型タンパク質)を細胞外から蛍光色素標識したFabでラベルし、相互作用を3色1分子観察で調べようと計画している。
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Research Products
(2 results)