2013 Fiscal Year Annual Research Report
アレクサンドロフ空間の収束理論と無限次元アレクサンドロフ空間の幾何学
Project/Area Number |
12J03673
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三石 史人 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アレクサンドロフ空間 / 局所リプシッツ可縮 / 距離カレント |
Research Abstract |
当該年度は、二つの結果を得た。 まず、曲率と体積の一様下限と、直径の一様上限を持つ、一定次元のアレクサンドロフ空間の全体からなるモジュライ空間を考える。このモジュライは、崩壊しない空間のクラスであり、収束理論の観点から重要である。山口孝男氏との共同で、このモジュライに関して、次の様なある種の距離構造の有限性に関する結果を得た : ある定数Nが存在して、このモジュライに属する各アレクサンドロフ空間は、高々N個の強リプシッツ可縮球によって被覆される。ここで、強リプシッツ可縮球とは、距離球であり、中心点に強変位レトラクトかつそのレトラクションはリプシッツ写像としてとれる様なものである。正確にはもっと厳しい条件を満たすものを言う。 AmbrosioとKirchheimによって導入された距離空間の中のコンパクト台を持つ正規カレント全体は、鎖複体を成す。私は、そのホモロジーについて研究し、次の結果を得た : すべての弱局所リプシッツ可縮な距離空間を対象とし、すべての局所リプシッツ写像を射とする圏の上で、はじめのカレントのホモロジーと、測度ホモロジーは線形空間の圏への関手として自然に同型である。ここで、測度ホモロジーとは、サーストンによって定義された位相空間のあるホモトピー不変量である。従って、前述の圏の上で、一見距離構造に依存すると思われるカレントのホモロ遊一は、位相構造にしか依らないという事が分かった。更に、この主張の証明の為に、距離空間の間の有界リプシッツ写像全体の空間に、ある位相を導入した。この位相は、距離空間の幾何や、一般位相幾何学の観点から興味深いと思われる性質を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アレクサンドロフ空間の特異点の距離構造に関する研究は、ペレルマンのリプシッツ安定性の主張があったがその証明は存在しない。我々の結果によって、その主張のあるサポートが成されたと言ってもよく、その貢献は大きい。 距離カレントのホモロジーの位相不変性をアレクサンドロフ空間を含む広い立場から考察した。アレクサンドロフ空間には、弱い意味の微分構造があるので、本物の微分形式と距離カレントの理論を関連付ける事が可能であり、その方向で研究を進める事によって数々の問題や発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
アレクサンドロフ空間に対し、崩壊理論を展開し、大域的位相構造を研究する。特に、崩壊する境界付き3次元アレクサンドロフ空間を研究する。この研究には、依然に行った、崩壊する境界無し3次元アレクサンドロフ空間の研究の手法が多く用いられる。距離カレントとアレクサンドロフ空間の弱い意味での微分形式を関連付け、微分形式とアレクサンドロフ空間の位相の関係を調べる。
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Research Products
(8 results)